フィンガルの洞窟 メンデルスゾーン
スコットランドのヘブリディーズ諸島を描く風景画的序曲
『フィンガルの洞窟』作品26は、フェリックス・メンデルスゾーンが二十歳の時(1830年12月)に作曲した演奏会用序曲『ヘブリディーズ諸島(Die Hebriden)』の通称。
「フィンガル」とは、スコットランドの伝説的詩人オシアンの叙事詩に登場する主人公の名前。伝説の英雄フィンガル王は、スタファ島の洞窟を拠点として、近隣の島々を荒らす海賊と戦った。
写真:フィンガルの洞窟(出典:Wikipedia)
スタファ島の「フィンガルの洞窟」では、波のこだまが生む不気味な音が響き渡り、まるで大聖堂やホールの反響のような雰囲気がある。
メンデルスゾーンは1829年にこの洞窟を訪れ、フィンガルの洞窟内の不気味なこだまにヒントを得て、序曲の冒頭の主題を書き上げた。第2主題では、海の動きや逆巻く波が描写されている。
写真:フィンガルの洞窟 別角度(出典:Wikipedia)
写真:スタファ島 手前がフィンガルの洞窟(出典:Wikipedia)
ちなみに、同年のスコットランド旅行によって、交響曲第3番「スコットランド」が誕生している。同曲は、瀧 廉太郎の歌曲『荒城の月』に影響を与えた可能性がある。
【YouTube】 Mendelssohn - Hebrides Overture
洞窟の柱状節理について
フィンガルの洞窟は、六角柱状の柱状節理(ちゅうじょうせつり)が特徴の一つとなっている(玄武岩)。
柱状節理は、高温の溶岩が冷えて六角形の割れ目が生じたもの。これが海に浸食されてフィンガルの洞窟が形成された。
写真:フィンガルの洞窟 玄武岩の柱状節理(出典:Wikipedia)
日本での柱状節理としては、福井県坂井市の断崖絶壁「東尋坊(とうじんぼう)」や、石川さゆりの演歌『天城越え』の歌詞にも歌われる静岡県伊豆市湯ヶ島の「浄蓮の滝(じょうれんのたき)」などが有名。
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