雨だれの前奏曲(プレリュード)
ショパンとジョルジュ・サンド マジョルカ島で愛の逃避行
前奏曲『雨だれ(Raindrop)』(雨だれの前奏曲/雨だれのプレリュード)は、ショパン「24の前奏曲(作品28)」の第15番目の曲。
作曲当時20代後半頃のショパンは、恋人ジョルジュ・サンド(George Sand/1804-1876)とスペインのマジョルカ島(Mallorca)で静養中だった。
試聴:雨だれの前奏曲(プレリュード)
女流作家ジョルジュ・サンドとの出会い
ジョルジュ・サンドはフランスの女流作家で、1822年にカジミール・デュドヴァン男爵と結婚し一男一女をもうけていたが離婚。
ショパンとはフランツ・リストを介して出会い、サロンでの演奏に心引かれた彼女はショパンに急接近していく。
付き合い始めた二人は、煩わしいパリのゴシップから逃れ、また体の弱いショパンの静養をかねて、気候に恵まれたスペインのマジョルカ島で一冬の愛の逃避行を楽しむことにした。
挿絵:ショパンとサンド(原作:ウジェーヌ・ドラクロワ)
スペインのマジョルカ島で愛の逃避行
二人は最初別荘を借りていたが、ショパンが風邪をこじらせ結核にかかっていたため地元の村人からすぐに追い出されてしまう。
急遽カルトゥハ修道院の庵室を安く譲り受け、お気に入りのプレイエルのピアノを届けさせると、そこで第15番『雨だれ』を含む全24曲の前奏曲を完成させた。
ショパンがマジョルカ島に滞在していた頃はちょうど地中海性気候の雨の多い時期で、長く降り続く雨が前奏曲『雨だれ』の完成に影響を与えたとも言われている。なお、現在カルトゥハ修道院には当時の部屋がそのまま博物館として残されており、二人の生活を偲ぶことができる。
アシュケナージの演奏によるショパン:前奏曲集(全集)。試聴あり。 |
胃腸薬のCMといえばこの曲 その理由とは?
「24の前奏曲(作品28)」は、タイトルどおり全24曲の短い小品から構成されている。第1番 ハ長調、第2番イ短調、第3番 ト長調、第4番 ホ短調のように、24曲がすべて異なる調性で書かれているが特徴。
これらの調性は、J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集に敬意を表したものといわれる。第5番 『雨だれ』 変二長調は、24曲中最も演奏時間が長い。
ちなみに、第7番目のイ長調は、「イ長」と「胃腸」をかけて、胃腸薬のCMに使用されていることは有名。こちらは1分以内に弾けてしまう非常に短い曲となっている。
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