ベートーヴェン 第九 交響曲第9番 合唱付き
日本の年末を象徴するベートーヴェンの合唱付き交響曲
年末の風物詩とも言えるベートーヴェンの第九(だいく)は、ロンドンのフィルハーモニー協会が作曲を依頼し、1824年に完成された交響曲第9番。
同年にウィーンのケルントネル門劇場にて行われた初演では、耳の病を患っていたベートーヴェンが観客の拍手喝采に気が付かず、舞台のアルト歌手に観客の方を向かされて、初めて演奏の成功を感じることができたという。
ジャケット写真:カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱部分の歌詞の原詩「歓喜に寄せて(An die Freude/1803)」は、ゲーテと並ぶドイツの詩人フリードリヒ・シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller/1759 - 1805)の作品で、後にベートーヴェンがカンタータ部の歌詞として抜粋し書き直された。
日本では、独自の歌詞がつけられ、小学校の音楽教科書に『よろこびの歌』として掲載されたほか、なかにし礼による第4楽章全体の日本語訳詞なども存在する。
第4楽章の合唱部分におけるドイツ語の歌詞や意味・読み方、日本語版の歌詞などについては、こちらのページ『歓喜の歌(喜びの歌) 合唱の歌詞と意味 ドイツ語の読み方』を参照されたい。
【YouTube】ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章 『歓喜の歌』
【YouTube】バーンスタイン指揮 Symphony no. 9 "CHORAL"
なぜ年末に第九が歌われる?
年末によく流れる「第九(だいく)」は、戦後まもない1940年代後半頃から頻繁に年末に演奏されるようになったという。年末に演奏が集中する理由の一つとしては、楽団員の「もち代稼ぎ」の狙いがあったようだ。
第九は合唱団も加わって大人数の構成で演奏される。その構成員の家族・友人らがそのコンサートを見に来れば、それだけで客数をある程度確保できるというわけだ。
もともとは、大晦日に演奏されるのはドイツの習慣に習ったもののようだが、前後の厳しい経済事情もあって、日本の年末には合唱付きの交響曲が定着したのだろう。
ちなみに、初期のCDの録音時間が74分とされていたのは、このベートーヴェンの交響曲第9番がCD1枚に収まるように配慮されたことが大きな理由と言われている。
耳の病はワインの飲み過ぎが原因?
余談だが、ベートーヴェンの死後、毛髪から通常の100倍近い鉛(なまり)が検出された。ベートーヴェンはワインの愛好家だったようだが、当時のワインには酢酸塩を含んだ甘味料が用いられ、この過剰摂取による「鉛中毒」が、その後の難聴や持病(腹痛・下痢等)を引き起こしたのではないかと推測されている。
ちなみに交響詩「モルダウ」(連作交響詩「我が祖国」より第2曲)の作曲者として有名なベドルジハ・スメタナ(B.Smetana/1824~1884)も耳を患っていたことで知られている。
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