トールのオーク(ドナーのオーク)
クリスマスツリーにモミの木が使われる由来・ルーツ?
クリスマスツリーにモミの木が使われる由来・ルーツとして、「トールのオーク Thor's Oak」、または「ドナーのオーク Donar's Oak」と呼ばれるキリスト教の伝説が残されている。
トールとは北欧神話の雷神トールのこと。ドナーはそのドイツ語読み。オークは樫の木(カシの木)。
内容的には、もう一つの伝説「オーディンの樫の木」と似ており、時代背景や登場人物など重複する説明は割愛するので、是非とも二つの伝説を合わせて読んでいただきたい。オーディンとは北欧神話の主神のこと。
挿絵:トールのオークを倒したボニファティウス(作:Emil Doepler/出典:wikipedia)
オークを切り倒した宣教師ボニファティウス
723年、キリスト教の布教にゲルマニアにやってきた宣教師ボニファティウスは、ガイスマーという小さな村にたどり着いた。そこは現在のドイツにおけるヘッセン州北部のフリッツラー(Fritzlar)にあたる場所。
そこでは、大きな樫の木が北欧神話の雷神トールに捧げられ、神聖な樫の木「トールのオーク」として祭られていた。高い木には雷が良く落ちることから、こうした自然信仰が生まれたのだろう。
キリスト教の宣教師であるボニファティウスからみれば、「トールのオーク」は認め難い異教の神への崇拝。すぐにでも止めさせてキリスト教へと導こうと、ボニファティウスら宣教師一行は「トールのオーク」を切り倒しに掛かった。
挿絵:トールのオークの倒伏を見るボニファティウス(出典:wikipedia)
神聖な「トールのオーク」を傷つけては雷神トールの怒りを受けると、村人達は恐れおののいた。怒りと不安に満ちた村人達を前に、ボニファティウスはこう言い放った。
「もしこの木が聖なるものであるならば、トールよ、我に雷を落としてみよ!」
ボニファティウスが「トールのオーク」を切り始めると、まるで奇跡のように突然大風が起こり、オークをなぎ倒した。
トールの雷が落ちなかったのを見て、村人達はボニファティウスの言葉に耳を傾け始めた。熱心にキリストの教えを説いたボニファティウスは、やがて村人達をキリスト教へと改宗させることに成功した。
倒れた「トールのオーク」のそばには、モミの若木が芽生えた。ボニファティウスはこのモミの木を「奇跡の木」として言い伝え、キリスト教の布教に用いていったという。
ボニファティウスは倒れたオークを木材として使い、この地に小さな礼拝堂を建てた。現在そこにはフリッツラー司教座聖堂が建立され、聖堂前にはボニファティウスの銅像が建てられている。
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