カール・ミカエル・ベルマン
Carl Michael Bellman
スウェーデン王室歌を作曲した18世紀の吟遊詩人
カール・ミカエル・ベルマン(Carl Michael Bellman/1740–1795)は、18世紀に活躍したスウェーデンの詩人・作曲家。
代表曲は、日本でも有名な童謡『アチャパチャノチャ』のルーツと考えられる『Gubben Noak (Noach) グッベン・ノーア』のほか、フォークダンス曲としても知られるスウェーデン王室歌『グスタフス・スコール』などが特に有名。
詩人としての活動のほか、自ら楽器を弾いて自作の曲を酒場などで演奏し、ベルマンはその名を国中に広めていった。上述の『Gubben Noak (Noach) グッベン・ノーア』もそうして広まった酒飲み歌の一つで、18世紀のスウェーデンやノルウェーで大流行したという。
作曲家・演奏家としての腕は、文芸を奨励した当時のスウェーデン国王グスタフ3世(在位:1771-1792)の耳にも入り、国王はベルマンの音楽家としての腕前を「即興の天才」と褒め称えたという。
ベルマンが作曲した宮廷向けの舞曲『グスタフス・スコール』は、後にスウェーデン王室歌として正式採用された。ちなみに、同曲は貴族や上流社会への風刺の意味もこめられている。
グスタフ3世はベルマンに金銭的な援助も行っていたようだが、ある意味形式的なものだったようで、それだけでは経済的に余裕ができるほどではなかったようだ(むしろ貧しい時期が多く借金もあった)。
ベルマンは晩年、若い頃に作曲した楽曲をまとめた歌集「フレードマン書簡 Fredmans Epistlar」(1790)、「フレードマン歌集 Fredmans Sånger」(1791)を相次いで出版。
『アチャパチャノチャ』のルーツと考えられる『Gubben Noak (Noach) グッベン・ノーア』は、この「フレードマン歌集 Fredmans Sånger」の35曲目に収録されている。
ベルマン研究家として知られたイギリスの翻訳家・著作家ポール・ブリテン・オースティン(Paul Britten Austin/1922–2005)は、自身の著書「ベルマンの人生と歌 The Life and Songs of Carl Michael Bellman」の中で、ベルマンの音楽について次のような言葉を残している。
"In 1768, ... Bellman had begun to compose an entirely new sort of song. A genre which 'had no model and can have no successors'..."
1768年、ベルマンはまったく新しいジャンルの歌を作曲しはじめた。モデルもなく、後に続くものもない新たなジャンルを。
— Britten Austin ブリテン・オースティン
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