アランフェス協奏曲
Concierto de Aranjuez
ナルシソ・イエペスの名演が光るクラシックギター協奏曲
『アランフェス協奏曲』は、スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴによるクラシックギター協奏曲。初演は1940年12月。
スペインの世界的ギタリスト、ナルシソ・イエペス(Narciso Yepes)のレパートリーとして有名となった『アランフェス協奏曲』は、今日ギターの名曲として高い知名度を獲得しているが、作曲者であるロドリーゴはピアニストであり、肝心の本人はギターを演奏していなかったという。
上写真:アランフェスの王宮(スペイン・マドリード)
【YouTube】アランフェス協奏曲 Concierto de Aranjuez
1936年スペイン内戦勃発
1936年に勃発したスペイン内戦により、スペイン各地の都市は大きな被害を受けた。スペインの画家ピカソの絵画「ゲルニカ」には、当時のスペイン国内の混乱と破壊の様子が象徴的に描かれている。
『アランフェス協奏曲』の舞台、スペイン・マドリード南部のアランフェス(アランフエス/Aranjuez)も戦火に巻き込まれた。
当時作曲者のロドリーゴは海外(おそらくフランスかドイツ)で活動していたため難を逃れたが、遠く離れた祖国と平和への思いを込め、その象徴として古都アランフェスを題材としてとりあげ、さらにスペインを象徴するクラシックギターを前面に押し出した協奏曲を書き上げたという(本人はピアニスト)。
上写真:アランフェスの街並み
特に有名な第2楽章
明るく華やかな第1楽章とはうってかわって、『アランフェス協奏曲』第2楽章は哀愁ただよう悲しみのような感情が満ち溢れた重苦しい曲調となっている。
第2楽章は全楽章の中でももっとも長い尺で構成されており、その印象的なメロディから特に人気が高く、「恋のアランフェス」、「我が心のアランフェス」などの別名でも親しまれている。
【YouTube】Concierto Aranjuez - Adagio
先にも述べたように、作曲者のロドリーゴはこの『アランフェス協奏曲』に遠く離れた祖国と平和への思いを込めたとされているが、それがまさにこの第2楽章で表現されているように思われる。
一説によれば、病に倒れたロドリーゴの妻と、流産してしまった長子への悲しみや神への祈りが込められているというが、真偽のほどは定かではない。
ジャズになった『アランフェス協奏曲』
『アランフェス協奏曲』はジャズの分野でもカバーされており、中でも「モダンジャズの帝王」と称賛されるアメリカのジャズトランペット奏者マイルス・デイヴィス(Miles Dewey Davis III/1926-1991)によるジャズアレンジは世界的に有名。
マイルス・デイヴィスによってジャズにカバーされた『アランフェス協奏曲』(第2楽章)は、1960年にリリースされたアルバム『スケッチ・オブ・スペイン(Sketches Of Spain)』の1曲目に収録された。2000年のリマスター盤では、ボーナストラックとして『アランフェス協奏曲』のリテイクも収録されている。
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<収録曲の一例> |