いちりっとらい(いちりっとらん)

らいとらいとせ しんがらほっけきょ 夢の国♪

『いちりっとらい(いちりっとらん)』は、日本のわらべうた・遊び歌・手まり歌(まりつき歌)。『いちりとらん』、『いちりとらいらい』、『いちりきらいらい』とも題される。

手まり歌『あのね和尚さんがね(おしょさんがね)』と関連性が高い。

各地で様々な歌詞で歌われており、歌詞の意味や前後関係についてもはっきりしない点が多い。発祥については、長崎や鹿児島、宮崎といった九州地方に深い関連性がありそうだが、明確な起源については明らかになっていない。

このページでは、ネットで収集した地域別の歌詞をまとめるとともに、重要なポイントとなりそうな歌詞の意味について簡単に解説してみたい。

写真:「ホーホケキョ」とさえずるウグイスのオス(出典:Wikipedia)

歌い方について

手まり歌として続けて歌う場合、一番は「いちりっとらい」、二番では「にーりっとら」、三番では「さんりっとらい」のように、冒頭の歌詞を「いち、に、さん、し…」と変えて十番まで続いていく。

長崎県

その1

いちにとらん らんとらんとせ ちんがらほけきょ うめのはな

その2

いちにとらい らいとらいとし しんがらほっけきょ ゆめのくに

その3

いちりっとらい らいとらいとせ しんがらほっけきょう 夢の国

鹿児島県 大隅地方

いちりっとらん いっかげっこし
チンガラホケキョの たかちおや チョンガメ

にーりっとらん にっかげっこし
チンガラホケキョの たかちおや チョンガメ

兵庫県加古川市

いちりっとら らっとげっとし
しんがらほけきょの たかちほよ ちょんがめ

神戸市

いちりきらいらい 落下傘でスイスイ
スイカ持ってキャッキャッ キャベツでホイッ

大阪市

いちりきらいらい らかさ(落下傘)ですいすい
かっぱくって きゃ きゃ
きゃべつで ほおーらい!

滋賀県甲賀市

いちりっとらん いちこうし しらほけきよの
しらほけきょの 高千穂よ
りょうてんかん (以下10まで続く)

いちりっとらら らっきょたべ シツシツ
しんがらもちゃ キャツキャツ キャベツでほい
(以下10まで続く)

いちりっとりゃ りゃっとりゃっとせ
しんがらほけきょ りゃっとりゃっとせ

<引用:甲賀市公式Webサイト内「遊ぽけっと」より>

静岡県焼津市

いちりっとら らっきょうくってし
しんがらほっけきょの とんがらしんがらほい

山形県

いちりっとららら らっきょうくってししし
しんぐらがってきゃっきゃっきゃ キャベツでホイ

小学校の音楽教科書(未確認)

いちりっとらんらん らっきょくってしっし
しんがらもっちゃきゃっきゃ きゃべつでほい

高千穂(たかちほ)について

いちりっとらん いっかげっこし
チンガラホケキョの たかちおや チョンガメ

この歌詞にある「たかちおや」とは、宮崎県北端部の高千穂町(たかちほちょう)を意味していると考えられる。

高千穂峰 たかちほのみね

写真:高千穂峰(たかちほのみね/出典:Wikipedia)

高千穂は日本神話と関連が深く、ニニギの天孫降臨の地とされているほか、アマテラスがこもったとされる天岩戸(あまのいわと)がある。古文書では、高千穂は「たかちお」と呼ばれていた。

渥美清『チンガラホケキョーの唄』

映画「男はつらいよ」シリーズでは、主演の渥美清が『チンガラホケキョーの唄』を何度か歌っている。

ネットの情報によれば、映画の説明では「チンガラ」はモズ(百舌鳥)、「ホケキョー」はウグイスの声を意味しているとのこと。

『いちりっとらい(いちりっとらん)』には、「ちんがらほけきょ うめのはな」という歌詞があるが、このモズとウグイスという解釈が非常にしっくりくる。

ただ、「チンガラ」がモズ(百舌鳥)を意味するとは本当なのか、当方では確認ができなかった。

鹿児島弁「ちんがら」について

鹿児島弁で、物がめちゃくちゃに壊れることや、話がまとまらないことを「ちんがら」と言うそうだ。

『いちりっとらい(いちりっとらん)』の歌詞にある「ちんがら」を、この鹿児島弁で解釈してみたが、前後の歌詞との違和感が大きく、この鹿児島弁とはあまり関係性は感じられなかった。

ほけきょは法華経?

「ちんがらほけきょ」の「ほけきょ」については、ウグイスではなく、仏教の「法華経」と解釈する見方もあるようだ。

ネットでは、歌詞を漢字で書くと 「一里渡来、来渡、来渡せ、秦から法華経 夢の国」となる、と仏教的な解釈を試みたブログもあり、この歌の謎深さが感じられる。

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