十九の春 歌詞と解説 沖縄歌謡

私があなたに惚れたのは ちょうど十九の春でした

『十九の春』(じゅうくのはる)は、鹿児島県与論島の俗謡『与論小唄』(よろんこうた)を元歌として、1972年にレコード化された沖縄歌謡・俗謡。田端義夫のカバーが有名。

『与論小唄』は沖縄本島で『尾類小(じゅりぐゎー)小唄』または『吉原小唄』となり、戦前の那覇で流行した。これら俗謡の歌詞に、与那国島出身の本竹祐助が補作詞して『十九の春』が誕生している。

カンヒザクラ 寒緋桜

写真:沖縄県の石垣島に咲くカンヒザクラ(寒緋桜)出典:Wikipedia

『与論小唄』および『十九の春』の歌詞は標準語(ヤマトグチ)で書かれており、本州の歌謡と同じく七五調で構成されている。

また、音階も沖縄民謡に見られるような琉球音階とは異なり、本州の演歌と同じくヨナ抜き音階。

【YouTube】 十九の春 田端義夫

歌詞

1.
私があなたに惚れたのは
ちょうど十九の春でした
いまさら離縁と言うならば
もとの十九にしておくれ

2.
もとの十九にするならば
庭の枯れ木を見てごらん
枯れ木に花が咲いたなら
十九にするのもやすけれど

3.
見捨て心があるならば
早くお知らせ下さいね
年も若くあるうちに
思い残すな明日の花

4.
一銭二銭の葉書さえ
千里万里と旅をする
同じコザ市に住みながら
会えぬ我が身のせつなさよ

5.
主さん主さんと呼んだとて
主さんにゃ立派な方がある
いくら主さんと呼んだとて
一生忘れぬ片思い

6.
奥山住まいのウグイスは
梅の小枝で昼寝して
春が来るような夢を見て
ホケキョホケキョと鳴いていた

コザ市とは?

コザ市(ござし)は、かつて1956年から1974年まで沖縄本島中部にあった市のこと。1974年4月1日に美里村と合併し沖縄市となり、コザ市は消滅した。

現在でも、銀行の支店名や商店、小中学校・高校名などにコザの名称が残されている。市の中心部は今でも「コザ」の名称で親しまれており、「沖縄市へ行く」というよりも「コザへ行く」という人が少なくない。

炭坑節の歌詞と似てる?

「♪月が出た出た 月が出た♪」の歌い出しで有名な民謡『炭坑節(たんこうぶし)』では、内容的に『十九の春』と関連性のある次のような歌詞が見られる。

あなたがその気で 云うのなら(ヨイヨイ)
思い切ります 別れます
もとの娘の 十八に
返してくれたら 別れます(サノヨイヨイ)

<抜粋:民謡『炭坑節(たんこうぶし)』歌詞より

『炭坑節』は、昭和初期に福岡県の三井田川炭鉱で歌われていた労働歌であり、『十九の春』の歌詞のルーツは、時系列的に『炭坑節』のこの歌詞にある可能性がありそうだ。

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