高原列車は行く 歌詞の解説

モデルは作詞者の故郷・福島県の鉱山鉄道

『高原列車は行く』は、1952年(昭和27年)に発表された日本の歌謡曲。歌いだしの歌詞は「汽車の窓から ハンケチ振れば」。

「ハンケチ」とはハンカチ(ハンカチーフ)のこと。大正・昭和初期は「ハンケチ」と呼ばれることが一般的だった。

作曲は、阪神タイガース応援歌『六甲おろし』や高校野球テーマ曲『栄冠は君に輝く』などで知られる古関 裕而(こせき ゆうじ/1909-1989)

作詞は、『高校三年生』、『襟裳岬』、『ハクション大魔王の歌』、『みなしごハッチ』主題歌などを手掛けた福島県出身の作詞家・丘 灯至夫(おか としお/1917-2009)。

『高原列車は行く』の歌詞は、丘が福島県で幼少期に慣れ親しんだ沼尻鉄道の情景がモデルとなっている(詳細は後述)。

写真:磐越西線あいづライナー4号(出典:うっかり鉄の鉄道風景写真撮影記)

【YouTube】 高原列車は行く

歌詞

『高原列車は行く』
作詞:丘灯至夫
作曲:古関裕而

汽車の窓から ハンケチ振れば
牧場の乙女が 花束なげる
明るい青空 白樺林
山越え谷越え はるばると
ララララ ララララララララ
高原列車は ラララララ 行くよ

みどりの谷間に 山百合ゆれて
歌声ひびくよ 観光バスよ
君らの泊りも 温泉の宿か
山越え谷越え はるばると
ララララ ララララララララ
高原列車は ラララララ 行くよ

峠を越えれば 夢みるような
五色のみずうみ とび交う小鳥
汽笛も二人の 幸せうたう
山越え谷越え はるばると
ララララ ララララララララ
高原列車は ラララララ 行くよ

沼尻鉄道とは?

『高原列車は行く』の歌詞のモデルとなった沼尻鉄道は、沼尻鉱山で採れる硫黄鉱石の輸送のために敷設された鉱山鉄道(軌道)。

福島県猪苗代町の川桁駅から沼尻駅まで11駅を結ぶ15.6 kmの短い鉄道路線。

あくまでも硫黄を運ぶ貨物輸送がメインであり、一般のお客さんを乗せる旅客輸送はあまり力が入っていなかったようだ。

1968年(昭和43年)に沼尻鉱山は閉山となり、同年に運営会社が破産。その翌年に沼尻鉄道は正式に廃止された。

写真の出典:日本硫黄沼尻鉄道部〈上〉 (RM LIBRARY 113) 青木 栄一 (著)

横向温泉 滝川屋旅館

『高原列車は行く』2番の歌詞にある「温泉の宿(いでゆのやど)」は、沼尻鉄道の沿線にある横向温泉(よこむきおんせん)が念頭に置かれているようだ。

作詞者の丘 灯至夫は、横向温泉の滝川屋旅館をよく利用していたという。

上の写真は明治時代に建てられた滝川屋旅館の建物。沼尻鉄道があった全盛期は、部屋数60、200名が宿泊できる大きな人気宿だったそうだ。現代でも規模を縮小して営業している。

写真:横向温泉 下の湯 滝川屋旅館(出典:温泉手帖)

五色沼

『高原列車は行く』3番の歌詞にある「五色の湖」とは、磐梯山(ばんだいさん)の北側、いわゆる裏磐梯にある五色沼(ごしきぬま)のことだろう。大小30余りの湖沼から成る。

写真は、五色沼の中で最も大きい毘沙門沼(出典:Wikipedia)。後に見えているのが磐梯山。五色沼周辺は磐梯朝日国立公園に指定されている。

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