きさらぎ山の楠の木を 御船歌・祝い唄
港町の祭礼などで歌われる古い御船歌・祝い唄
『きさらぎ山』は、港町の祭礼などで歌われる古い御船歌(おふなうた)・祝い唄。秋田民謡『秋田大黒舞』の歌詞にも取り入れられている。
曲名については、伝えられた地域によって『如月山(きさらぎやま)』、『木更津山(きさらずやま)』、『草薙山(くさなぎやま)』、『めでたいの』など、「ゆれ」が見られる。
日本全国に広まっており、ネットで簡単に検索したところ、千葉県館山市の夏祭りや、淡路島や愛媛県各地の船神輿歌(みこしうた)、出雲市大社町の吉兆歌(きっちょうか)・船唄などで、現代まで歌い継がれているようだ。
歌詞は、歌われる地域や時代によって若干相違がみられる。このページでは、ネットで確認できた『きさらぎ山』の歌詞をいくつかまとめておくこととしたい。
写真:館山市新井地区の祭りと明神丸(出典:南房総花海街道サイト)
歌詞その1
きさらぎ山の楠の木を
船に造りて今卸(おろ)し
白銀(しろがね)の柱おし立てて
黄金の蝉(せび)を含ませて
水縄(みなは)・手縄(てなは)は琴の糸
綾(あや)や錦を帆にあげて
寶ヶ島へ乗り込んで
数の寶を積み込んで
あなたの倉庫(くら)へ納め置く うれし
<地域:愛媛・江之元/出典:ブログ「株式投資と邪馬台国女王、卑弥呼」>
歌詞その2
さては、キミさまの
としのはじめの はつゆめに
くさなぎやまの くすのきを
ふねにつくりて いまおろす
こがねのセミを ふくまして
しろがねのはしら おしたてて
みなわてなわ ととのえて
にしきあやに ほにまいて
たからがしまに のりこんで
おもうたからを つみとりて
こなたくらに おさめ(おく)
<地域:愛媛・江之元の船神輿唄/出典:ブログ「風を起こす」>
歌詞その3
めでたいの 若枝も栄える
葉も あらたまの
年の始めの初夢に
きさらぎ山の楠で
船を造りて今おろし
白金の柱を押し立て
黄金のせびをふくませて
みなわ手なわは琴の糸
綾や錦を帆にまいて
宝の島へ乗込んで
思う宝を積み受けて
こなたの蔵へ納めおく
おめでたいぞよわか はえだもお おやあ
栄える はあもえいはえ
<出雲市大社町の吉兆歌/出典:近畿・大社会事務局Webサイト>
歌詞その4
きさらぎ山の 樟の木の
背板五枚を 板にぬく
瓦は春日の 大明神の
船首は熊野の 権現に
船を造りて 今朝おろし
沖の鴎(かもめ)の 浮き姿
胴には十二の 御船霊(おふなだま)
軸にはお恵比寿 水先に
艫(とも)に大黒 おやじどの
<引用元:宮田登「七福神信仰事典」戎光祥出版>
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