やさしいおかあさま 歌詞と解説
わたしがおねむに なったとき やさしくねんねん こもりうた
「わたしがおねむに なったとき」が歌い出しの『やさしいおかあさま(お母さま)』は、昭和15年(1940年)にラジオ上で発表された日本の童謡。戦後にレコード化され人気となった。
作曲は、『お猿のかごや』、『みかんの花咲く丘』などを手掛けた海沼 實(かいぬま みのる/1909-1971)。
写真:『やさしいお母さま』の歌碑(御殿場中央公園/出典:ブログ「名曲歌碑めぐり」)
作詞は、静岡県御殿場市出身の童謡作詞家・稲穂雅巳(いなほ まさみ/1910-1999)。
御殿場市にある御殿場中央公園には、御殿場市出身の稲穂雅巳にちなんだ歌碑『やさしいお母さま』の歌碑が建立されている(上写真)。
【YouTube】 童謡 やさしいお母さま
【YouTube】 童謡歌手 福井理恵さんが歌う やさしいお母さま
一番の歌詞について
『やさしいお母さま』(作詞:稲穂雅巳)一番の歌詞を次のとおり引用する。
わたしがおねむに なったとき
やさしくねんねん こもりうた
うたってねかせて くださった
ほんとにやさしい おかあさま<引用:『やさしいお母さま』(作詞:稲穂雅巳)一番の歌詞>
童謡『どんぐりころころ』のような綺麗な八五調で、ひらがなで歌詞の縦をそろえると、8文字と5文字に綺麗に分かれて、とてもまとまりがよく聴きやすい。
最初に「おねむ」という幼児語を用いる事で、歌い手の視点が幼い子供であることが分かりやすくなっている。童謡『春よ来い』でも幼児語が効果的に使われている。
意図的かどうかは不明だが、「おねむ」「ねんねん」「ねかせて」のように、「ね」の音が繰り返し登場しており、歌に統一感とリズム感が生まれているように感じられる。
二番の歌詞について
『やさしいお母さま』二番の歌詞を次のとおり引用する。
夏はねびえを せぬように
冬はおかぜを ひかぬよう
おふとんなおして くださった
ほんとにやさしい おかあさま<引用:『やさしいお母さま』(作詞:稲穂雅巳)二番の歌詞>
一番の歌詞では、眠くなった自分を子守唄で寝かしつけてくれるお母さんが描写されていたが、二番の歌詞では、眠りについた後もなお自分を心配して布団を直してくれる優しい母の姿が描かれている。
母親の愛情を感じるシーンとしては、こうした睡眠に関すること以外にも、温かい手料理だったり、丁寧な縫い物・編み物だったり、洗濯物を洗って干して畳んでくれる姿だったり、人によって様々あると思われるが、この『やさしいお母さま』の作詞者にとっては、お布団で眠りにつく際の母との思い出が強く心に残っているように感じられる。
三番の歌詞について
『やさしいお母さま』三番の歌詞を次のとおり引用する。
わたしが大きく なったなら
ご恩をお返し いたします
それまでたっしゃで まっててね
ほんとにやさしい おかあさま<引用:『やさしいお母さま』(作詞:稲穂雅巳)三番の歌詞>
昭和15年(1940年)という激動の時代に作詞された歌詞のため、戦後のGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による日本占領中は、この三番の歌詞が歌われないこともあったようだ。
戦前に作詞された童謡は、『汽車ぽっぽ』のように戦後になって歌詞が一部改変されることがあるが、この『やさしいお母さま』に関しては、そのような部分改変は行われず、そのままの歌詞で現代まで歌い継がれている。
関連ページ
- 母のうた 母親・ママに関する民謡・童謡
- お母さんに関連する日本の民謡・童謡、ママが歌詞に出てくる世界のうた、母親をテーマとした音楽など、有名な「母のうた」まとめ。
- 海沼實 有名な童謡・代表曲
- 『お猿のかごや』、『みかんの花咲く丘』など、今日でも有名な数多くの童謡を手掛けた作曲家・海沼 實(かいぬま みのる)の有名な歌まとめ
- 昭和初期の有名な歌謡曲・童謡・唱歌
- 激動の昭和初期に生まれた数々の名曲・愛唱歌まとめ