汽車ぽっぽ (本居長世)
なんだ坂 こんな坂 お山の中行く 汽車ぽっぽ
「お山の中行く 汽車ぽっぽ」が歌い出しの『汽車ぽっぽ』は、作詞・作曲:本居長世による昭和2年(1927年)発表の童謡。「なんだ坂 こんな坂」のフレーズが有名。
歌の舞台・モデルは、東海道本線・御殿場ルート(現在の御殿場線)。蒸気機関車が黒い煙と白い蒸気をふきながら、御殿場ルートの坂を力強く上っていく様子が描写されている。
写真:D52形蒸気機関車(出典:Wikipedia)
なお、タイトルがよく似た同名異曲『汽車ポッポ(兵隊さんの汽車)』についてはこちらで解説している。この曲も歌詞の舞台が御殿場駅というのが大変興味深い。
【YouTube】「汽車ぽっぽ」作詞・作曲 / 本居長世
歌詞
お山の中行(ゆ)く 汽車ぽっぽ
ぽっぽ ぽっぽ 黒い煙(けむ)を出し
しゅしゅしゅしゅ 白い湯気ふいて
機関車と機関車が 前引き 後(あと)押し
なんだ坂 こんな坂
なんだ坂 こんな坂
トンネル鉄橋 ぽっぽ ぽっぽ
トンネル鉄橋 しゅしゅしゅしゅ
トンネル鉄橋 トンネル鉄橋
トンネル トンネル
トン トン トンと のぼり行く
写真:肥薩線のD51蒸気機関車と補助機関車(出典:WIkipedia)
歌詞の意味・補足
歌詞に特段難しい表現はないが、次の点について若干補足する。
機関車と機関車が 前引き 後押し
ここでは、先頭の蒸気機関車に加えて、最後部にさらに補助機関車(補機)を追加して、前と後ろで列車をサンドイッチ状態で走っている様子が描写されている。
箱根越えなどの急勾配の区間では、通常よりも牽引する大きなパワーが必要になり、補助機関車が活躍する。
<写真:御殿場駅前のD52形蒸気機関車(出典:Wikipedia)>
なんだ坂 こんな坂
なんだ坂 こんな坂
この部分の歌詞は、まるで蒸気機関車が擬人化されてセリフをしゃべっているかのような場面。
蒸気機関車が「この程度の坂が何だというんだ。僕らなら大したことないぞ!」と強がりを言いながら、フーフー煙と蒸気を吹き出しながら懸命に急勾配の坂を上っていくような、リズミカルかつ力強く、生命力と躍動感にあふれる描写となっている。
「なんだ坂 こんな坂」のフレーズは特に親しまれており、童謡『汽車ぽっぽ』をまったく知らなくても、このフレーズだけは知っているという人も少なくないだろう。
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