電車ごっこ
日本の童謡・唱歌/運転手は君だ 車掌は僕だ
「運転手は君だ 車掌は僕だ」の歌い出しで愛唱される童謡『電車ごっこ』は、1932年発行「新訂尋常小学唱歌」に掲載された文部省唱歌。
作詞は、文部省図書監修官として「小学国語読本」編集に深く携わった井上 赳(いのうえ たけし/1889-1965)。童謡・唱歌の代表曲は、『電車ごっこ』の他に『花火(ドンと鳴った花火がきれいだな)』がある。
作曲は、1000曲を超える全国の小中学校・高校・大学の校歌や市歌・社歌を手掛けた信時 潔(のぶとき きよし/1887-1965)。今日でも有名な曲としては、童謡・唱歌『一番星みつけた』、国民唱歌『海行かば』、カンタータ『海道東征』、歌曲集『沙羅』が知られている。
歌詞『電車ごっこ』
運転手は君だ 車掌は僕だ
あとの四人が 電車のお客
お乗りはお早く
動きます ちんちん
運転手は上手 電車は早い
つぎは上野の公園前だ
お降りはお早く
動きます ちんちん
【YouTube】歌:松野節子・東京荒川少年少女合唱隊 『電車ごっこ』
【YouTube】歌:ひまわりキッズ 『電車ごっこ』
市民の足として活躍した東京市電
童謡・唱歌『電車ごっこ』が発表された頃の東京には、市民の足としての路面電車(市電)が広く存在し活躍していた。
2013年現在では、東京都が雲煙する路面電車(東京都電)は都電荒川線を残すのみとなってしまったが、全盛期には41系統が存在し、路線の総延長は213kmにも及び、広大な路線網が放射状に広がっていた。
写真:都電6000形電車「一球さん号」
『電車ごっこ』の2番の歌詞で登場する「つぎは上野の公園前だ」も東京市電の駅を指しており、当時の路線における第1系統では、品川駅を出発して、三田、新橋、須田町を通り、上野駅前まで運行していた。
なお、童謡・唱歌『電車ごっこ』が歌われる際は、この「上野の公園前」という部分の歌詞が、全国それぞれの地元の駅の名前に差し替えて歌うケースもあるようだ。