サ・イラ Ah ! ça ira
18世紀フランス革命歌
『サ・イラ Ah ! ça ira』は、18世紀後半のフランス革命において盛んに歌われた革命歌。邦題は『ア・サ・イラ』、『サイラ』などの表記も見られる。
曲名の「ça ira」とは、フランス語で「うまくいくさ」といった意味。サビのフレーズとして曲中で繰り返し歌われる。
なお、『サ・イラ Ah ! ça ira』の他に歌われたフランス革命歌としては『ラ・カルマニョール La Carmagnole』もよく知られている。
動画
歌詞の一例・日本語訳(意訳)
Ah ! ça ira, ça ira, ça ira
Le peuple en ce jour sans cesse répète,
ああ うまくいくさ!
人々はこの日 口々に繰り返す
Ah ! ça ira, ça ira, ça ira
Malgré les mutins tout réussira.
ああ うまくいくさ!
暴徒もいるが 必ず事は成し遂げられる
エディット・ピアフ歌唱の映画主題歌にも
サシャ・ギトリ(Sacha Guitry/1885-1957)監督による1954年公開のフランス映画「Si Versailles m'était conté」では、フランス革命歌『サ・イラ Ah ! ça ira』が主題歌として用いられた。
歌手は、『愛の讃歌 Hymne à l'amour』で知られる女性シャンソン歌手のエディット・ピアフ(Édith Piaf/1915-1963)。同映画の中で民衆の一人として登場し、貴族の敷地に詰め寄って『サ・イラ Ah ! ça ira』を高らかに歌い上げている。
ルーツはベンジャミン・フランクリンの台詞?
『サ・イラ』の曲名・歌詞にあるフランス語「ça ira」については、アメリカ100ドル紙幣の肖像画で有名な政治家ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin/1705-1790)の台詞(せりふ)が影響しているとの説があるようだ。
それは北アメリカがまだイギリスの植民地だった18世紀後半、アメリカ植民地13州の代表が集まって開かれた大陸会議(Continental Congress)でのこと。
1775年からイギリスとの間で勃発したアメリカ独立戦争(革命)について、ベンジャミン・フランクリンはいつも、若干怪しいフランス語で「ア、サ・イラ、サ・イラ Ah! ça ira, ça ira」(うまく行くさ)と答えていたという。
フランスでもベンジャミン・フランクリンは大変人気のある政治家で、彼のフランス語によるセリフは現地フランスにも伝わり、フランス革命歌の歌詞に影響を与えていたとしたら、それは大変興味深い話だ。
なお、当時イギリスと対立していたフランスはアメリカ独立戦争に参戦。この戦費の負担により、もともと悪化していたフランスの国家財政はついに事実上の破たん状態に陥り、1789年7月14日のバスティーユ襲撃、すなわちフランス革命の遠因になっていった。
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