ウィリアム・クロッチ William Crotch
学校のチャイムのメロディを作曲?
ウィリアム・クロッチ(William Crotch/1775-1847)は、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学の教会で活躍したイングランドの作曲家・オルガニスト。
学校のチャイムのメロディ『ウェストミンスターの鐘』の原曲を作曲した可能性が高い人物として言及される。
参照: 学校のチャイム 作曲者は誰?
幼い頃から音楽の才能を発揮していたウィリアム・クロッチは、なんと11歳の若さで、当時ケンブリッジ大学音楽科の教授を務めていたジョン・ランドール(John Randall/1715–1799)の助手として活躍。
ケンブリッジ大学にはアイザック・ニュートンを輩出したトリニティ・カレッジがあるが、ウィリアム・クロッチは14歳の時に、そのトリニティ・ホールで自身の作曲したオラトリオ『The Captivity of Judah』の演奏を行っている。
1790年、15歳の頃にはオックスフォード大学のクライスト・チャーチのオルガニストに任命され、その7年後には22歳の若さでオックスフォード大学の音楽科教授に就任した。
なお、学校のチャイムのメロディ『ウェストミンスターの鐘』の原曲を作曲したのは、彼がオックスフォード大学にいた10代後半の頃。
1794年、古巣ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジの近くにあるグレート・セント・メアリー教会の新しい時計の鐘として、ウィリアム・クロッチが作曲したと一般的に考えられている。
その作曲の際、ヘンデル『メサイア』第3部のメロディを編曲した可能性が指摘されているが、真相は定かではない。
ロンドン王立音楽アカデミー初代学長に
1822年、後の「ロンドン王立音楽アカデミー Royal Academy of Music」の前身となる音楽アカデミーの初代学長として、47歳のウィリアム・クロッチが迎えられた。
ロンドン王立音楽アカデミーはその後、世界有数の音楽学校の一つとして、エルトン・ジョン、サイモン・ラトル、マイケル・ナイマン、キャサリン・ジェンキンスら著名人を輩出している。
ウィリアム・クロッチは音楽アカデミーの学長を10年間勤めた後、晩年をサマセット州トーントン(Taunton)にある息子の家で暮らし、1847年に72歳でこの世を去っている。
関連ページ
- ウェストミンスターの鐘
- ロンドンのウェストミンスター宮殿にある時計塔ビッグ・ベンの鐘の音。英語の歌詞と日本語訳も。
- グレート・セント・メアリー教会
- 『ウェストミンスターの鐘』のメロディ元祖。イギリス・ケンブリッジ大学の中心にそびえる歴史ある教会。
- ヘンデル『メサイア』第3部
- 冒頭の曲のメロディがアレンジされた可能性があるようだ
- 学校のチャイム 作曲者は誰?
- 『ウェストミンスターの鐘』の原曲と歌詞について