うがい薬の歌「ただいまのあとは」CMソング

突然訪れた明治イソジンとの別れ 健栄製薬が権利を受け継いだ

うがい薬CMソング『ただいまのあとは』は、1980年代半ばから2010年代前半にかけてテレビ放送されていた明治イソジンのコマーシャルソング(現在は健栄うがい薬)。

CMでは、マフラーを巻いた可愛らしいカバのキャラクターとともに、「♪ただいまのあとは ガラガラ ジンジン ガラガラ イソジンジン♪」と耳に残るCMソングが流れ、明治イソジンは大人から子供まで親しまれる人気の定番商品として定着していた。

明治 うがい薬 イソジン

写真:かつて販売されていた明治うがい薬

作曲は、「クレヨンしんちゃん」主題歌『オラはにんきもの』や「ふたりはプリキュア」主題歌で知られる小杉保夫(こすぎ やすお)。

作詞は、『日立の樹』、『青雲のうた』、『パッ! とさいでりあ』など数多くのCMソングの歌詞を手がけた伊藤アキラ。

【YouTube】明治イソジンCM カバくん「イソジン体操」篇

そんな日々が続いてく そう思っていたあの頃

明治イソジンはこれからも定番商品として販売され続ける。永谷園のお茶漬けのように。ガリガリ君ソーダ味のように。おそらく一般消費者の多くがそう思っていたことだろう。

ところがそんな「明治イソジン」の存続に重大な危機が訪れた。長年続いてきたライセンス契約の更新が打ち切られ、明治は「イソジン」の名前を使えなくなってしまったのだ。

ライセンス契約終了とカバの商標を巡り提訴

明治イソジンは、製薬会社ムンディファーマ(Mundipharma)からライセンス許諾を受けて販売されていた。

そこに明治が独自のキャラクター「カバくん」を用い、オリジナルのCMソング『ただいまのあとは』でコマーシャルを打つなどの企業努力により、日本での定番うがい薬として成長・定着させたという経緯がある。

それが2010年代に入りムンディファーマが方針を転換。直接自社でイソジンの販売に乗り出すため、明治とのライセンス契約を2016年3月末で打ち切ることを決定した。

カバくんキャラを守れ!差し止め訴訟へ

イソジンブランドについては新たにシオノギ製薬がライセンス契約を締結。しかし、シオノギ製薬が販売を開始したイソジンのパッケージには、なんと明治の「カバくん」に類似したキャラクターが。

長年の企業努力により育てた「カバくん」のブランドにタダ乗りされた明治は、類似キャラクターを使用した製品の販売差し止めを求めてムンディファーマを提訴した。

ムンディファーマ側も「以前と同じパッケージ使ってるそっちこそ紛らわしい」と逆ギレで明治を提訴。訴訟は泥沼の様相を呈したが、結局ムンディ側がデザインを変更することで和解が成立。「カバくん」ブランドは辛うじて守られた結果となった。

明治はライセンス契約終了のため「イソジン」の名前は使えなくなり、2016年4月以降は「明治うがい薬」の商品名で同じ内容のうがい薬を販売している。

CMソング『ただいまのあとは』も終了の危機にさらされたが、「ガラガラ イソジンジン」部分の歌詞を「明治うがい薬」にそのまま差し替えることで、今後もCMソングとして使用が継続されることになったようだ。

そして健栄うがい薬へ

令和4年(2022年)11月からは、健栄製薬(株)が「明治うがい薬」等の製造販売権を受け継ぎ、「健栄うがい薬」として販売されている。CMソングの独占使⽤権およびキャラクター「カバくん」の商標権も継承した。

カバくんの健栄うがい薬

写真:カバくんの健栄うがい薬

健栄製薬株式会社(けんえいせいやく)は、大阪府大阪市に本社を置く日本の製薬会社。1946年設立。消毒用エタノールの市場占有率で1位(日本)。

1983年に販売開始された「明治うがい薬」を約40年間受託製造していたのは、他でもない健栄製薬であり、受託メーカーが製造販売権・商標権(カバくんのキャラクター)を委託者からそのまま継承した形となった。

今後は、「明治うがい薬」は「カバくんの健栄うがい薬」として販売されることになる。CMソングに関する権利もすべて継承したが、「イソジン」という名称が使えないのは上述のとおり。

【YouTube】健栄製薬 うがい薬

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