南極物語 テーマ曲 ヴァンゲリス Vangelis
映画音楽で大ヒットを記録していたヴァンゲリスによるサントラの名曲
「南極物語」は、1983年公開の日本映画。南極の昭和基地に置き去りにされた兄弟犬タロとジロを描いた感動作。
テーマ曲は、ギリシャのシンセサイザー奏者ヴァンゲリス(Vangelis/1943-2022)が作曲した『Theme from Antarctica』(テーマ・フロム・アンタークティカ)。「Antarctica(アンタークティカ)」とは「南極大陸」のこと。
ジャケット写真:映画「南極物語」DVD
当時ヴァンゲリスは、1981年の映画「炎のランナー(Chariots of Fire)」サントラで大ヒットを記録しており、1982年にはSF映画「ブレードランナー(Blade Runner)」サントラを担当するなど、世界中からオファーが殺到していた。
そのため、「南極物語」制作サイドがヴァンゲリスに映画音楽の制作を依頼したところ、マネージャーから報酬として当時の日本映画を数本撮れるほどの金額を提示されたという。
あまりに高額な報酬に一時は断念しかけたが、本人に参加を確約してもらい、マネージャーと粘り強く交渉して「南極物語」サウンドトラック担当が実現した。
ヴァンゲリスにとって、映画「南極物語」はサウンドトラックを手がけた初の日本映画となった。
【YouTube】Theme from Antarctica
ベストアルバム
『炎のランナー』および『南極物語』テーマ曲は、ヴァンゲリスのベストアルバム(下ジャケット写真)に収録されている。
ジャケット写真:ヴァンゲリス (Vangelis)ザ・ベスト・コレクション
映画『南極物語』のあらすじ
1958年(昭和33年)2月、南極観測隊の第二次越冬隊は、南極観測船「宗谷(そうや)」に乗って南極大陸へ赴いた。
しかし、長期にわたる悪天候の為、南極への上陸・越冬を断念する。昭和基地には、先発の第一次越冬隊が飼っていた樺太犬(からふとけん)15頭がいたが、やむなく置き去りにされてしまう。
写真:南極観測隊第一次越冬隊メンバーの北村泰一が記したノンフィクション
抜け出せたのは8頭のみ
クサリにつながれたまま、エサもなく極寒の地に残された15頭の犬たち。運よく首輪から抜け出せたのは15頭中8頭。タロ、ジロ、リキ、アンコ、シロ、ジャック、デリー、風連のクマ。
残りのゴロ、ペス、モク、アカ、クロ、ポチ、紋別のクマの7頭は、首輪から抜け出すことができず、後に繋留場で遺体を収容された。
エサのない昭和基地を捨て、兄弟犬タロ、ジロを含む8頭は、エサを求めて雪原へと必死の旅に出た。足を滑らせて冷たい海へ落ちる犬、空腹に耐えかねて狂ったように走り出して姿を消した犬、シャチに襲われる犬・・・。次々に仲間の犬たちの数は減っていく。
第三次越冬隊の編成 帰ってきた潮田と越智
やがて第三次越冬隊が編成され、第一次越冬隊の潮田(高倉健)と越智(渡瀬恒彦)が昭和基地に赴いた。置き去りにしてしまった犬達を探す二人だったが、クサリにつながれたまま息絶えた犬達を見て愕然とする。
「残りの犬達もきっと絶望的だろう。」
涙に暮れる潮田と越智だったが、不意に、遠くから近づく二つの物影をとらえた。二人の目に映ったものは、紛れもなく、あのタロとジロの姿だった・・・。
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