メキシコ独立戦争 ドロレスの叫び
世界史・国際関係トピックス
18世紀後半になると、アメリカ独立戦争やフランス革命の影響を受けて、世界各国で独立運動の機運が高まった。
19世紀前半のナポレオン戦争により本国スペインがフランスの占領下に入ると、スペイン各地で独立運動が起こった。
フランス占領下のスペインでは、ナポレオンの兄ジョゼフ・ボナパルトがスペイン王ホセ1世として即位しており、世界各地のスペイン植民地ではこの新たな王への抵抗・蜂起が相次いだ。
本国スペインの混乱に乗じる形で、 1810年9月、以後10年以上続くメキシコ独立戦争(独立革命)が勃発した。
ドロレスの叫び(ドローレスの叫び)
1810年9月16日の早朝、メキシコの都市ドローレス・イダルゴ(Dolores Hidalgo)で司祭を務めていた指導者ミゲル・イダルゴ・イ・コスティーリャ(Miguel Hidalgo y Costilla)は、ドロレス(ドローレス)の教会の鐘を打ち鳴らし、民衆を集めた。
写真:ミゲル・イダルゴの像とドローレス・イダルゴの教会
ミゲル・イダルゴはメキシコの民衆を前に、スペイン植民地政府に対する抵抗を呼びかけた。
「我らがグアダルペの聖母万歳!悪辣な政府と植民者たちに死を!」
「メキシコ人よ、メキシコ万歳! Mexicanos, ¡viva México!」
ミゲル・イダルゴの演説に民衆は一斉に蜂起。彼は翌年政府軍に捕縛され処刑されてしまうが、反乱軍の勢いは衰えず、1821年にメキシコはスペインから独立を果たした。
毎年メキシコ大統領が再演
この有名な演説は後世「ドロレスの叫び(ドローレスの叫び) Grito de Dolores」と呼ばれ、歴代のメキシコ大統領によって、毎年9月15日の夜11時に、メキシコシティのソカロ広場に建つ国立宮殿のバルコニーで再演される習わしとなっている。
再演では、メキシコ大統領が「我々に祖国を与えてくれた英雄たちよ万歳!メキシコ万歳!と叫び、イダルゴの鐘が鳴らされ、メキシコの国旗を振って締めくくられる。
関連ページ
- メキシコ国歌
- アメリカ・メキシコ戦争(米墨戦争)から数年後の1854年に作曲された