令和と万葉集 梅花の歌 意味と元歌

新元号「令和(れいわ)」の典拠とそのルーツまとめ

新元号「令和(れいわ)」の典拠とされる万葉集「梅花の歌(うめのはなのうた)」の原文と意味を簡単におさらいしたうえで、その歌に大きな影響を与えた中国の詩文集『文選(もんぜん)』の該当箇所と比較してまとめてみたい。

令和と万葉集 梅花の歌 意味と元歌

まずは、「令和」の引用元である『万葉集』の「梅花の歌」該当箇所の原文(漢文)と書き下し文、現代語訳を簡単にWikipediaから引用する。

その後で、「梅花の歌」に影響を与えたと考えられる中国の詩文集『文選(もんぜん)』の該当箇所の原文と意味を掲載していく。

万葉集「梅花の歌」原文

于時、初春令月、氣淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。

<引用:『万葉集』巻五「梅花の歌 三十二首、并せて序)」より>

書き下し文

ときに、初春の令月(れいげつ)にして、気淑(きよ)く風和(やわ)らぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かおら)す。

書き下し文の意味

時は初春のよい月、空気は美しく、風は和やかで、梅は鏡の前の美人が白粉(おしろい)で装うように花咲き、蘭は身を飾る衣にまとう香のように薫らせる。

中国の詩文集『文選(もんぜん)』

『万葉集』「梅花の歌」の該当箇所に影響を与えたとされる、中国の詩文集『文選(もんぜん)』の該当箇所の原文は次のとおり。

於是仲春令月 時和氣淸

<引用:『文選』巻十五 張衡「帰田賦(きでんのふ)」より>

書き下し文

是に於いて 仲春の令月 時は和し気は清む

意味

おりしも今は 春も半ばのよい月 時節はなごやか 大気は澄む

「帰田賦」を詠んだ張衡について

「帰田賦(きでんのふ)」を詠んだ張 衡(ちょう こう/78-139)は、後漢代の政治家・科学者。

「帰田(きでん)」とは、政治家を辞めて、故郷の田舎に帰って自然と暮らすことを意味している。

張衡の切手

写真:張衡の切手(1955年発行/出典:Wikipedia)

張衡は暦(こよみ)を司る最高官職の太史令を務め、天文学を学んだ。力学の知識を活かして、世界最初の水力地球儀や地震計などの発明品も生み出している。

また月食の原理や月の直径も理解しており、天文学分野への貢献から、小惑星「張衡(1802 Zhang Heng)」の名前にもなっている。

万葉集の入門書

万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

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