アイスクリームの歌 NHK「みんなのうた」歌詞
おとぎ話の王子でも 昔はとても食べられない♪
『アイスクリームの歌』は、NHK「みんなのうた」で1962年に初回放送された子供向けの歌。NHK「おかあさんといっしょ」でも放送され人気となった。
歌いだしは「おとぎ話の王子でも 昔はとても食べられない」。
現代のような滑らかで濃厚なアイスクリームの原型は16世紀~17世紀頃とされており、それより昔の時代には、貴族・王族といえど、今のような美味しいアイスクリームを手軽に食べることは難しかった。
『アイスクリームの歌』では、文明の発展により昔より美味しいアイスクリームを手軽に食べられるようになった喜びが、子供の目線からコミカルに描かれている。
【YouTube】 アイスクリームの歌
歌詞(作詞:佐藤義美)
おとぎ話の王子でも 昔はとても食べられない
アイスクリーム アイスクリーム
ぼくは王子ではないけれど
アイスクリームを召し上がる
スプーンですくって ピチャ チャチャ
舌にのせると トロン トロ
のどを音楽隊が通りますプカプカ ドンドン 冷たいね
ルラ ルラ ルラ 甘いね
チータカタッタッタ おいしいね
アイスクリームは 楽しいねおとぎ話の王女でも 昔はとても食べられない
アイスクリーム アイスクリーム
わたしは王女ではないけれど
アイスクリームを召し上がる
スプーンですくって ピチャ チャチャ
舌にのせると トロン トロ
のどを音楽隊が通りますプカプカ ドンドン 冷たいね
ルラ ルラ ルラ 甘いね
チータカタッタッタ おいしいね
アイスクリームは 楽しいねおとぎ話の王子でも 昔はとても食べられない
アイスクリーム アイスクリーム
アイスクリームを味わう擬音がユニーク
『アイスクリームの歌』の歌詞は、アイスクリームの甘さや濃厚さを味わう様子が擬音や楽器の音で表現されている。
「スプーンですくって ピチャ チャ チャ」や「舌にのせると トロン トロ」など、聞き手の想像と食欲をかきたてるような分かりやすい擬音で、アイスクリームの美味しさが具体的なイメージで伝わってくる。
舌の上だけではなく、飲み込むときも音楽隊が「プカプカ ドンドン」「ルラ ルラ ルラ」「チータカ タッタッタ」と美味しさのパレードを繰り広げ、アイスクリームが奏でる美味の世界が聴覚の観点からも描写されるという二段構えには脱帽だ。
自分への尊敬語で子供っぽさを表現
もう一つ『アイスクリームの歌』の歌詞でユニークなのは、「召し上がる」という尊敬語を自分自身に使うことで、子供っぽさやおどけた感じを巧みに表現しているという点だ。
「ぼくは王子ではないけれど アイスクリームを召し上がる」「わたしは王女ではないけれど アイスクリームを召し上がる」の歌詞がその該当箇所になるが、「おとぎ話の王子でも 昔はとても食べられない」という伏線を回収するとともに、あえて間違った尊敬語の使い方をすることで、ちょっとおどけた子供らしい遊び心を描き出すことに成功している。
作詞者について
『アイスクリームの歌』の作詞者:佐藤義美(さとう よしみ)(男性)は、早稲田大学高等学院で金子みすずの一年先輩。
児童文学者として活躍したほか、戦前に童謡『グッドバイ』、戦後に『犬のおまわりさん』、『アイスクリームの歌』などを発表し、童謡作家としてもその名を残した。
作曲者について
『アイスクリームの歌』はもともと、1960年にABCラジオ(朝日放送)番組のために書き下ろされた楽曲。プロデューサーの阪田寛夫からの依頼で、服部公一がスウィング・ジャズ風に作曲した。
ちなみに、服部公一はその後1965年、阪田寛夫の作詞による『マーチング・マーチ』を作曲しているが、同曲中の有名な「チッタカター」「チッタカタッタッタ」というフレーズは、『アイスクリームの歌』で佐藤義美が作詞した「チータカ タッタッタ」からヒントを得たものである可能性が高い。
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲に似てる?
『アイスクリームの歌』冒頭のメロディは、18世紀ドイツの作曲家J.S.バッハによる『無伴奏チェロ組曲 第3番 ブーレI』に似ているとの指摘があるようだ。