チュンチュンワールド 歌詞と元ネタ
お笑い芸人の今田と東野が実写で登場するレアな「みんなのうた」
『チュンチュンワールド 〜おげんきたいそう〜』は、NHK「みんなのうた」で1994年8月に初回放送された楽曲。作詞:森有栖香、作曲:赤坂東児。
実写パートでは、お笑い芸人の今田耕司と東野幸治がスズメの着ぐるみ姿で出演し、元体操選手(銅メダリスト)の池谷幸雄が子供向けの体操を披露している。
このページでは、『チュンチュンワールド 〜おげんきたいそう〜』のYouTube動画と、歌詞の中で使われているフレーズの元ネタについて、歌詞を引用しながら簡単に解説してみたい。
ジャケット写真:『チュンチュンワールド』8cmCD
スズメのキャラクターについて
丸っこいスズメのキャラクターは、1993年にイラストレーターの佐野元らが動画コンテスト向けに作成した短いCGアニメーション作品。
後にNHK「みんなのうた」関係者の目に留まり、このCGアニメをモチーフにした楽曲の制作を持ちかけられたという。
【YouTube】 チュンチュンワールド
歌詞の意味・和訳(意訳)
元ネタがある歌詞が登場するのは、体操パートに入る直前の部分。
確認のために、作詞:森有栖香による『チュンチュンワールド 〜おげんきたいそう〜』前半部分の歌詞を次のとおり引用する。
チュンチュン チュンチュンワールド
チュンチュン チュンチュンワールド
チュンチュン チュンチュンワールド
きたぞ ほらね
そら ここにいる空を飛び 街をこえて
やってきた ぼくら
夢と希望を 胸に抱いて
体と頭の チューニングチュンチュン チュンチュンワールド
チュンチュン チュンチュンワールド
チュンチュン チュンチュンワールド
きたぞ ほらね
そら ここにいるチュンチュン
チュンチュンワールド
チュンチュン
チュンチュンワールド一羽でチュン
二羽でチュンチュン
三羽そろえばチュンチュンがチュン
この歌詞の最後にある「三羽そろえばチュンチュンがチュン」という部分が、古い元ネタの存在を感じさせるフレーズとなっている。
一定の年代以上の方ならすぐに思い出される昭和ネタだが、令和の現在に改めて簡単に解説してみたい。
「チュンチュンがチュン」元ネタは?
「チュンチュンがチュン」の元ネタと思われるのは、1970年代に人気を博した『電線音頭』という楽曲シリーズ。
オリジナルは、1976年7月の『桂三枝の電線音頭』。その後歌詞が全年齢向けに改められ、番組キャラクターが歌う『デンセンマンの電線音頭』として大ヒットした。
【YouTube】 デンセンマンの電線音頭
『デンセンマンの電線音頭』冒頭の歌詞を引用すると次のとおり。
チュチュンがチュン チュチュンがチュン
電線に スズメが3羽 止ってたそれを猟師が 鉄砲で撃ってさ
煮てさ 焼いてさ 食ってさヨイヨイヨイヨイ おっとっとっと
ヨイヨイヨイヨイ おっとっとっとチュチュンがチュン チュチュンがチュン
勉強は 国語 算数 理科 社会休み時間に弁当食ってさ
先生にさ 呼ばれてさ 立たされたヨイヨイヨイヨイ おっとっとっと
ヨイヨイヨイヨイ おっとっとっと
「スズメが3羽」「チュチュンがチュン」という部分が、『チュンチュンワールド』の歌詞に影響を与えているように思われる。
なお、電線にとまった3羽のスズメが前置きに使われているが、これはお笑い芸人の歌ネタと同じように、後に続いていくネタをラッピングするだけの装飾部分に過ぎない。
ただ、「チュチュンがチュン」のインパクトがあまりに強すぎるため、すでに冒頭の部分で歌ネタとして完結している感があり、その後に続くネタの部分は正直印象に残りにくい。
今田と東野のレアな実写パート
上述のとおり、『チュンチュンワールド 〜おげんきたいそう〜』の実写パートでは、お笑い芸人の今田耕司と東野幸治がスズメの着ぐるみ姿で出演している。
今田と東野が実写でNHK「みんなのうた」に登場するという非常にレアな演出だ。
ところが、放送開始から1年後の1995年8月には、シリーズ第2弾となる『チュンチュンワールド〜マジックカーニバル〜』という新曲が発表され、実写パートもなくなってしまった。
これはまるで、今田と東野の起用後に何らかの問題が発生して、それを慌てて覆い隠すように、問題のない新曲と急いで差し替えたような印象を受ける交代劇だった。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」の影響?
当時の今田と東野に何があったのか?筆者の私見では、当時のバラエティ番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」が影響したのではないかと推測している。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」は、1991年12月8日からレギュラー放送が開始され、1997年11月2日まで日曜夜8時に放送されていたバラエティ番組。
年月を重ねるごとに内容が過激になっていき、『チュンチュンワールド 〜おげんきたいそう〜』が放送された翌年の1995年4月からは、今田と東野がコンビできわどいコスチュームで過激なネタを演じるコントが始まった。
子供向けのNHK「みんなのうた」に登場したばかりの実写キャラクターが、民放の人気番組で深夜放送のような過激なコントを始めたら、健全なイメージを損なわれるNHK側としてはたまったものではない。
こうして『チュンチュンワールド』は異例の早さで続編が制作され、初代はまるで最初から存在しなかったかのような扱いを受けているように感じられる。
なお、あまりに早く続編が作られたことから、スズメのイラストレーター(原作者)に続編について事前に何も連絡がなく、後に新たなトラブルを生んだ。
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