セントルイス・ブルース
Saint Louis Blues
ジャズ/ルイ・アームストロングの演奏がグラミー賞殿堂入り
『セントルイス・ブルース』(Saint Louis Blues/St.Louis Blues)は、ルイ・アームストロングのレコーディングで有名なスタンダード・ジャズの名曲。
写真:セントルイスの街並み(出典:Wikipedia)
ジャズ演奏家にとっては外すことのできないスタンダードナンバーとして、グレンミラー(Glenn Miller)やボストンポップスオーケストラ(Boston Pops Orchestra)など、様々なミュージシャンによって演奏されてきた。ポップスにカバーされ成功した初のブルースとしても知られる。
特に、「ブルースの女帝」と称賛されたアメリカの黒人女性歌手ベッシー・スミス(Bessie Smith/1894-1937)とルイ・アームストロングによる同曲の共演は、1993年にグラミー賞の殿堂入り(Grammy Hall of Fame)を果たしている。
更に、ルイ・アームストロングによる1929年レコーディングの『セントルイス・ブルース』は2008年にグラミー賞の殿堂に加えられた。
【YouTube】Louis Armstrong - Saint Louis Blues
ガーシュウィン『サマータイム』のルーツ?
『St.Louis Blues』とメロディが比較的良く似た曲として、アメリカの音楽家ガーシュウィン作曲『サマータイム Summertime』の名前が挙げられることがまれにあるようだ。『サマータイム』のメロディのルーツには諸説あるが、ルイ・アームストロングによりアメリカ中に広められた『St.Louis Blues』も、ガーシュウィンのインスピレーションの源の一つとなっている可能性は十分にあるだろう。
ちなみに、『St.Louis Blues』のルーツ的な存在として、黒人霊歌『時には母のない子のように Sometimes I Feel like A Motherless Child』も是非鑑賞してみていただきたい。どちらかと言えば、この曲の方が『サマータイム Summertime』との類似性をより多く見出すことができるのではないだろうか。
セントルイスはどんな町?
『セントルイス・ブルース』のタイトルにもあるアメリカ・ミズーリ州東部の都市セントルイス(St. Louis)は、ミシシッピ川とミズーリ川が交わる商工業都市で、北部は主にアフリカ系アメリカ人の住民が多く、ノース・カウンティ(North County)と呼ばれるスラム街が広がっている。
全米の大都市圏の中では最も物価が安い街の一つで、ワシントン大学やセントルイス大学など教育機関を有し数多くの留学生を受け入れている。日本人の居住者も比較的多い。バドワイザーで有名なビール会社アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch Companies, Inc.)の本社がある。
上の図の赤い部分がミズーリ州。ミシシッピ川をはさんで対岸に位置するイーストセントルイス市(East St. Louis)も住民の9割以上がアフリカ系アメリカ人。犯罪発生率も全米最悪の水準となっている。
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