勝利の女神ニケ(ナイキ) ギリシャ神話
スポーツ用品メーカー「ナイキ」の社名・ロゴの由来
勝利の女神ニケ(ニーケー)は、ギリシャ神話でアテナ(アテーナー)の随神として描かれる有翼の女神。古代ギリシャ彫刻「サモトラケのニケ」で有名。
英語では「ナイキ Nike」と発音され、スポーツ用品メーカー「ナイキ」の社名はこの勝利の女神ニケに由来している。ブーメランのようなナイキのトレードマーク・ロゴも女神ニケの翼をデザイン化したもの。ホンダのバイクのロゴマークにある羽根も女神ニケの翼がモチーフ。
写真:女神ニケ像(タイタニック号エンジニア記念碑/イギリス・サウサンプトン/出典:Wikipedia)
女神ニケは、古代ギリシアやローマ帝国で人気があったスポーツ「戦車競走(チャリオット・レーシング/chariot racing)」と結びつけられ、女神ニケが象徴する「勝利」とは「スポーツ競技における勝利」を指すことが多い。
これに対して、ローマ神話における勝利の女神ヴィクトリア(Victoria) は、死に対する勝利を象徴し、戦争の勝者を決定するものとされた。
ナイキとホンダのロゴ
勝利の女神ニケの「翼」が元になった企業ロゴとして、改めてナイキとホンダのロゴ・トレードマーク(シンボルマーク)を見てみよう。
下の写真は、ナイキ エアフォース1 シリーズの一つ。白地に黒いシンボルマークが、女神ニケの翼に由来している。
写真:ナイキ エアフォース 1 Air Force 1
次に、下の写真はホンダのバイクで使われている企業ロゴ。これも女神ニケの翼をモチーフとしたトレードマークであり、年代を経るごとに翼のデザインがシンプルになっている。
写真:Honda ホンダ オールド・ウイング・ステッカー
ナツメヤシの葉とニケ
勝利の女神ニケは、ナツメヤシを持った姿で絵画に描かれることが多い。ナツメヤシは繁栄と勝利の象徴とされ、キリスト教の聖書にも度々登場する。
写真:ナツメヤシ(出典:Wikipedia)
明治以降の日本では、シュロが唯一のヤシ科植物だったこともあり、ナツメヤシは同じヤシ科で別種の「シュロ(棕櫚)」と誤訳され、そのまま定着してしまった。
例えば、古関 裕而(こせき ゆうじ〉作曲による夏の甲子園(高校野球)大会歌として有名な『栄冠は君に輝く』では、3番の歌詞で「シュロ(棕櫚)の葉」を(勝利の象徴として)かざすというくだりがあるが、これは勝利の女神ニケに結び付けられるナツメヤシが本来言及されるべき植物である。
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