アヴェマリア(カッチーニ) Ave Maria

真の作曲者はウラディーミル・ヴァヴィロフ

カッチーニ『アヴェマリア』は、『シューベルトのアヴェマリア』、『グノーのアヴェマリア』と並ぶ「3大アヴェマリア」の一曲として親しまれてきたが、今日では真の作曲者が確定している。

挿絵:ラファエロ「ベルヴェデーレの聖母」

自らの名前を隠し神秘化を図ったヴァヴィロフ

真の作曲者は、旧ソ連の作曲家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(Vladimir Fiodorovich Vavilov/Владимир Фёдорович Вавилов/1925–1973)。ギターやリュート奏者としても活躍した。

ヴァヴィロフは、自身の作品を神秘化するため、昔の古典作曲家の名前を借りて発表する事がよくあったという。

カッチーニ『アヴェマリア』については、ヴァヴィロフは「作曲者不詳」のアヴェマリアとして発表していたが、彼の死後に演奏家らがカッチーニの名前でレコーディングを行ったため(経緯は不明)、近年までカッチーニ作として広まってしまっていた。

真の作曲者はヴァヴィロフだが別の作曲者の作品として広まった楽曲、いわゆる偽作については、他にもバラキレフ『即興曲』、フランチェスコ・ダ・ミラノ『黄金の都市(カンツォーナ)』、アンドレイ・シクラ『マズルカ』などがある。

カッチーニについて

ジュリオ・カッチーニ(Giulio Caccini/1545-1618)は、イタリア・ルネサンス音楽末期、バロック音楽初期の作曲家。

メディチ家(トスカーナ大公国の君主)の宮廷歌手(テノール)として活躍したほか、リュートやヴィオールなどの楽器も演奏した。

【YouTube】ピアノ版 カッチーニのアヴェマリア

【YouTube】スラヴァ カッチーニのアヴェマリア

スラヴァの日本デビューアルバム「アヴェ・マリア」は、クラシックとしては異例の30万枚を超える大ヒットを記録した。

翌1996年発売の2枚目のアルバム「ヴォカリーズ」も第11回日本ゴールドディスク大賞クラシック・アルバム部門を受賞するなど高い人気を獲得している。