ハンガリー行進曲
ベルリオーズ『ファウストの劫罰』より
舞台をドイツからハンガリーに変えてまでも使いたかった行進曲
『ハンガリー行進曲』は、1846年に作曲されたベルリオーズ『ファウストの劫罰』第1幕で演奏される劇中曲。ハンガリーの『ラコッツィ行進曲(ラーコーツィ行進曲)』が引用されている。
『ハンガリー行進曲』が作曲された当時、ベルリオーズはウィーンやプラハなどヨーロッパ各地に演奏旅行へ出かけていた。
ハンガリーの首都ブダペストへ赴いた際、現地の伝統的な楽曲『ラコッツィ行進曲』を管弦楽用に編曲した『ハンガリー行進曲』を演奏すると、聴衆から熱狂的な歓声を送られたという。
これに大変気を良くしたベルリオーズは、同時期に作曲を開始していた劇的物語『ファウストの劫罰』に同曲をどうしても取り入れようと、ドイツの詩人ゲーテによる『ファウスト』の舞台をハンガリーに書き換えてしまった。
『ラコッツィ行進曲』は序盤の重要なつかみとして、『ファウストの劫罰』第1幕でハンガリー兵の行進曲として演奏される。
【YouTube】ラコッツィ行進曲 ベルリオーズ
フランツ・リストやブラームスも引用
『ラコッツィ行進曲』のメロディに惹きつけられたのはベルリオーズだけではなかったようで、ハンガリーの作曲家フランツ・リストは、ピアノ独奏曲集『ハンガリー狂詩曲』の中で、第15番 イ短調『ラーコーツィ行進曲 Rákóczi-Marsch』を作品に組み込んでいる。
ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスも、ハンガリーのジプシー(ロマ)音楽に基づいて編曲した舞曲集『ハンガリー舞曲』において、『ラコッツィ行進曲』のメロディを自身の作品へ取り入れている。
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