葬送 ピアノソナタ第12番
ベートーヴェン/Piano Sonata No. 12, Op. 26
ベートーヴェン(ベートーベン)というと、『運命(交響曲第5番)』、『交響曲第7番』、『交響曲第9番(いわゆる第九)』などの交響曲を真っ先に思い浮かべる方も少なくないだろう。しかし、ベートーヴェンは意外に多くのピアノソナタを残している。
ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調(作品26)は、ベートーヴェンによる1800年頃の作品。第三楽章に置かれた『ある英雄の死を悼む葬送行進曲』と副題のつけられたマエストーソ・アンダンテから、「葬送」の通称で親しまれている。この楽章は単独で管弦楽や吹奏楽などに編曲され、要人の葬儀で演奏される機会も多い。
ピアノソナタではあるが、ソナタ形式の楽章をひとつも含まない組曲風の構成となっており、従来のソナタを大きく脱却している。
4つの楽章は非常にバリエーションに富んでいる。特に第一楽章の変奏曲や最終楽章の対位法は、ベートーヴェンの最後期のピアノソナタで再び深く追求される題材となっている。
ショパンが特に気に入っていた作品としても知られ、ショパン作曲『ピアノソナタ第2番』第三楽章では「葬送行進曲」が用いられ、ベートーヴェン作品へのオマージュが感じられる。
【YouTube】ベートーヴェン「葬送」第4楽章
中山晋平「証城寺の狸囃子」とそっくり?
曲の内容とは全く関連性がないが、ベートーヴェン「葬送」の第4楽章の中に、日本の民謡「証城寺の狸囃子(しょうじょうじのたぬきばやし)」とよく似たメロディーが登場する。
もちろん偶然の一致とは思われるが、コミカルな「証城寺の狸囃子」のイメージが強烈すぎて、ベートーヴェンのピアノソナタ「葬送」の方が何だか茶化されているような感じがしてならない。
ちなみに、ハイドン『交響曲第89番ヘ長調』第1楽章の冒頭では、いきなり「しょ、しょ、しょうじょうじ♪」のメロディが登場する。ハイドンの方がベートーヴェンよりも数十年先に作曲しているので、元祖はハイドンの方になる。
なお、特集ページ「そっくりメロディー研究室」では、ベートーヴェン「葬送」と「証城寺の狸囃子」のように、一部のメロディが良く似たクラシック音楽と日本の童謡をまとめてご紹介している。
J-POPと洋楽の類似曲などについても取り上げているので、ご興味のある方は是非お立ち寄りいただきたい。
【YouTube】ベートーヴェン「葬送」第4楽章
【YouTube】証城寺の狸囃子
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