花売り 歌詞の意味 ベートーヴェン作曲
ベートーヴェンの歌曲が日本では花売りの少女の歌に
『花売り』(花賣)は、昭和22年(1947年)発行の小学校向け音楽教科書「6年生の音楽」に掲載された歌曲。作詞は歌人・教育者の水町京子。
メロディは、ベートーヴェン作曲『マーモット(Das Lied des Marmottenbuben)』(作品52-7)が用いられている。
ピアノ初学者向けの教本によく掲載されているほか、高齢者向けの合唱曲としても使われる機会があるようだ。
昭和の古い楽曲で、歌詞は歌人による文語的な表現が用いられている。若干分かりにくい箇所について、歌詞の意味を簡単に補足してみたい。
【YouTube】 歌曲『花売り』NHK東京放送児童合唱団
【YouTube】 ピアノ演奏『花売り』ベートーヴェン
歌詞「花売り」
1.
水うち清めし
朝の巷(ちまた)に
白露(しらつゆ)宿(やど)せる
紅花(べにばな)・黄花(きばな)
花売る乙女の
涼しきひとみ
ものみな笑(え)まうよ
乙女の花に
2.
行き交いにぎおう
夕べの辻に
秋野のさながら
匂える花や
花売る乙女の
やさしき心
思えば人みな
歩みを止むる
歌詞の意味・補足
「巷(ちまた)」とは、街中(まちなか)、にぎやかな通り、人家の集まった中の小道。
「白露(しらつゆ)」とは、草木の葉の上で、白く光って見える水滴・露のこと。秋の季語。
「笑(え)まう」とは、「ほほえむ」の意味。動詞「え(笑)む」の未然形に、反復継続を表す助動詞「ふ」がついた形。「花が咲く」という意味もある。
「夕べの辻」の「辻(つじ)」とは、人々が往来する道筋・街頭。道路が十字形に交わる所。
「秋野のさながら」の「さながら」とは、非常に似ているさま、まるで、そっくり。全体で「まるで秋の野原のように」の意味になる。
ベニバナについて
歌詞にある「紅花」とは、単に赤い色の花を指すのか、キク科のベニバナを指すのか判然としないが、後者のベニバナについて簡単に補足してみたい。
写真:埼玉県桶川市のベニバナ畑(出典:Wikipedia)
ベニバナ(紅花)は、キク科ベニバナ属の一年草または越年草。雅称を末摘花(すえつむはな)ともいう。山形県、埼玉県、千葉県で多く栽培される。
6月から7月頃に花が咲き、はじめは鮮やかな黄色で、オレンジを経て徐々に赤くなる。
口紅や染料・着色料(食品添加物)の材料となるほか、食用油(ベニバナ油)の原料となる。
乾燥させた花は紅花(こうか)と呼ばれ、血行促進作用がある生薬となる。養命酒にも含まれている。
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