親しらず子しらず 歌詞と解説 合唱曲
中学校の校内合唱コンクールで歌われる合唱曲
『親しらず子しらず』は、作詞:山本和夫、作曲:岩河三郎による合唱曲。中学校の校内合唱コンクールで歌われる機会が多い(上級生向け)。
写真は、日本海に面する新潟県糸魚川市の国道8号線と北陸自動車道。この一帯は「親不知(おやしらず)」と呼ばれ、東西に15㎞ほど延びる海岸線は「親不知子不知(おやしらずこしらず)」とも称される。
新潟県や富山県といった北陸地方には、平家の落人伝説が数多く残されているが、この「親不知(おやしらず)」についても、興味深い逸話が伝えられている(詳細は後述する)。
【YouTube】合唱曲『親しらず子しらず』
歌詞
荒磯の岩かげに
苔むした地蔵が
かすむ沖をじっと見つめている子を呼ぶ母の叫びが聞こえぬか
母を呼ぶ子のすすり泣きが聞こえぬか旅に病む父親のもとへと
心を急がせた母と子に
北溟(ほくめい)の怒濤がグワッと爪を立て
次々に二つの悲しき命を
うばい去ったという
怒濤は何を怒ったか
その怒りを
何ゆえ悲しき母と子に向けたか子を呼ぶ母の叫びが聞こえぬか
母を呼ぶ子のすすり泣きが聞こえぬか
悲しき人を
さらに悲しみで追いうちするを
人生というか
悲劇に向かっていどむ喜劇(もの)を運命の
神はにくむかかもめは啼きつつとびかい
海をもぐり波をすべる
かもめの歌の悲しさよじっと見つめる苔むした地蔵も
夕暮れる
親知らず子知らずの沖も
茫々(ぼうぼう)夕暮れる
生き延びた平家の落人 平頼盛
平安時代末期に源氏が平家を滅ぼした壇ノ浦の戦いの後、平清盛の異母兄弟であった平頼盛(たいらのよりもり)はかろうじて生き延び、越後国蒲原郡五百刈村(現在の新潟県長岡市)で落人として暮らしていた。
頼盛が生きていることを聞きつけた奥方は、急いで京都から越後国を目指した。だが、親不知の難所に差し掛かった際、連れていた子供が波にさらわれてしまった。その時、次の歌を詠んだという。
親知らず 子はこの浦の波枕 越路の磯の泡と消え行く
以後、この一帯は「親不知」と呼ばれるようになった。合唱曲『親しらず子しらず』は、この平家の伝説に基づいて作曲されたものである。
山本・岩河の北陸コンビによる他の合唱曲は?
福井県出身の山本和夫と富山県出身の岩河三郎の北陸コンビにより作曲された合唱曲『親しらず子しらず』。
この二人のコンビで作曲された他の合唱曲は、『ひめゆりの塔』、『たじま牛』、『十字架の島(クルスの島)』などが有名。
また、岩河三郎が地元の富山に関連して作曲した合唱曲としては、『麦屋節(むぎやぶし)』をアレンジした『むぎや 富山に伝わる三つの民謡より』や『越中おわら』などが人気が高い。
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