天の川 ミルキーウェイ 銀河系の全体像と神話
宇宙から見た天の川の全体像とミルクにまつわるギリシャ神話
七夕伝説において、織女(おりひめ)と彦星(ひこぼし)を分かつ天の大河・天の川(あまのがわ)。英語では「milky way」(ミルキーウェイ)と呼ばれる。
地球から見ると川のように見える天の川だが、実際の宇宙空間ではどのような姿をしているのだろうか?
天の川(銀河系)の全体像と、英語で「ミルキーウェイ milky way」と呼ばれる由来となったギリシャ神話、春夏秋冬で異なる天の川の見え方などについて、簡単にまとめてみた。
なお、天の川や七夕伝説と関連する夏の大三角については、こちらのページ「夏の大三角 探し方・見え方」でまとめているので是非参照されたい。
天の川の正体は?
天の川とは一体何なのか?その答えとしては、銀河系の帯状の姿が、その内部にある地球から川のように見えている、という説明になるだろう。
この銀河系(Galaxy/ギャラクシー)は、天の川銀河(Milky Way Galaxy/ミルキー・ウェイ・ギャラクシー)とも呼ばれ、その全体像は下の図のように想像されている。
写真:銀河系(天の川銀河)想像図(出典:Wikipedia/文字入れ等あり)
銀河系(天の川銀河)は、1000億の恒星や星間ガスなどの天体の集まりから構成される棒渦巻銀河であり、全質量は太陽の1兆2600億倍と考えられている。
図の中心の下の方にポツンと「Sun」と書かれた部分が、地球が属する太陽系の場所。
銀河系(天の川銀河)の直径は約10万光年。地球と太陽の距離である0.00001581光年(1億4960万km)と比較すると、その大きさが良く分かる。
天の川銀河を真横から見ると?
仮に真横から観察できたとすると、ペロペロキャンディやおせんべのように厚み(約1000光年)のある平べったい形をしていると考えられている。
中心の凸レンズ状に膨らんでいる部分は「銀河バルジ galactic bulge」と呼ばれる。
写真:真横から見た天の川銀河(出典:Wikipedia)
ミルキーウェイの由来はギリシャ神話
天の川は英語で「ミルキーウェイ milky way」、フランス語で「ヴォワ・ラクテ Voie lactée」、ドイツ語では「ミルヒ・シュトラーセ Milchstraße」と呼ばれる。
いずれも日本語で「ミルクの道」を意味するが、いずれも「ミルク・乳」が関連している理由は、とあるギリシャ神話の出来事に由来している。
登場するのは、全能の神ゼウスと妻ヘーラー(ヘラ/ヘレ)。そしてもう一人、ゼウスの浮気相手の子ヘラクレス。ゼウスはヘラクレスに高い地位を授けようとしたため、正妻のヘーラーはヘラクレスを憎んでいた。
ヘーラーの母乳には、飲んだ者の肉体を不死身に変える力がある。ゼウスは赤子のヘラクレスに不死の力を与えようとして、眠っているヘーラーの乳を吸わせたが、ヘラクレスが乳を吸う力が強く、痛みに目覚めたヘーラーは赤ん坊を突き放してしまった。
その際に飛び散ったヘーラーの母乳が天の川になったとされ、ラテン語で「Via Lactea」(ミルクの道)と呼ばれた。このラテン語が、英語の「ミルキーウェイ milky way」の語源となっている。
ちなみに、銀河を意味する「galaxy ギャラクシー」という単語も、ギリシャ語で「ミルキー、ミルク状の」を意味する「galaxias」が語源となっている。
春夏秋冬の天の川
地球は天の川銀河の内部に存在する惑星であることから、春夏秋冬一年中、天の川を見ることが出来るが、見え方には季節でかなり差がある。
たとえば、夏は天の川銀河の中心方向が見えるので、星の数も多く明るく綺麗に見える。逆に冬は、天の川銀河の外側を向くので、星の数が少なく暗く見える。
また、春の夜は天の川が地平線とほぼ重なってしまうので、周辺に高い山があると天の川はかなり見えにくくなってしまう。春に天の川を綺麗に見たい場合は、南半球へ旅行に行くとよいだろう。
秋の夜にも天の川は見えるが、南北にかかる夏の夜と異なり、秋の天の川は北向きに見上げて東西に流れる。
綺麗に見えるのはいつ?
天の川が綺麗に見えるのは、天気の良い夏の夜、具体的には、7月から8月頃の夜8時頃がおすすめ。
出来れば、月の出る前もしくは沈んだ後か、新月に近い月齢の日を選んで観察するのがいいかもしれない。
天の川が肉眼で見える場所は?
残念ながら、市街地・都市部では天の川は肉眼ではほとんど見えない。
天の川を肉眼で観察するには、夏にある程度高い山に登って、周辺に街灯や街の明かりなどが少ない暗い環境を選ぶと良い。
夏の暑い時期に避暑を兼ねて、長野県周辺の日本アルプスにある温泉旅館などに一泊しながら、天の川や夏の星座を観察してみるのも楽しそうだ。
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