ひいらぎいわし 意味・由来 節分飾り
節分にヒイラギのトゲで鬼の目を突く魔よけ・邪気払い
2月の節分(せつぶん)の時期には、地域によって、玄関先にヒイラギ(柊)の小枝と焼いたイワシ(鰯)の頭か飾られることがある。
これは「ひいらぎいわし(柊鰯)」、「やいかがし(焼嗅)」などと呼ばれる日本の伝統文化の一つで、鬼を追い払う魔よけ・邪気払いの意味合いがある。
写真:ひいらぎいわし 節分飾り(出典:Yellow Labrador "Soran")
ヒイラギ(柊)の葉のトゲは鬼の目を刺すので鬼は家に入れず、焼いたイワシ(鰯)の生臭さと煙は鬼を近づけないという。
飾り方について
飾り方は、イワシの頭のみをヒイラギの枝に刺すやり方や、イワシ全体をそのままヒイラギとくくりつけて吊るす方法なども見られる(下写真)。
写真:京都祇園のお茶屋さんの節分飾り(出典:ブログ「京都穴場探しと旅日記」)
お正月のしめ縄にも
節分の「ひいらぎいわし(柊鰯)」の歴史をさかのぼると、平安時代の正月飾りに起源があるようだ。
写真:伊勢しめ縄飾り(出典:伊勢しめ縄飾屋)
平安時代の貴族・紀 貫之(きの つらゆき)が記した日記文学『土佐日記』では、正月の「ひいらぎいわし(柊鰯)」に関連して次のような記述がある。
今日は都のみぞ思ひやらるる、小家の門の端出之縄(しりしめなわ)、なよしの頭、ひひらぎ等(など)いかにぞと言ひあへなよ
<紀 貫之『土佐日記』より>
「なよし」とは、ボラの幼魚のこと。この頃はイワシではなかったようだ。
ちなみに現在でも、伊勢神宮などで正月に頒布される伊勢しめ縄飾りには、ヒイラギ(柊)の小枝が飾りとして使われている。
ひなまつりの「ひし餅」もトゲだった?
トゲが邪気を払う魔よけになるという考え方は、3月3日のひなまつりにも見受けられる。それは、雛段飾りに供える三色の菱餅(ひしもち)の形だ。
下写真は、菱餅(ひしもち)の名前の由来であるヒシの実。鋭いトゲがあり、忍者の「まきびし」にも使われる。
写真:ヒシの実(出典:ジャムこばやし)
菱餅(ひしもち)の形はいわゆる「ひし型」であり、その意味合いについては諸説あるが、当サイトの見解としては、菱餅のひし型はヒシの実のトゲを表しており、そのトゲで邪気を払い、女の子の健やかな成長を願う意味があるのではないかと考えている。
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