なぜ春の空は霞むの? 理由・原因
かすんで見える春の空 春に霞が起きやすい理由は?
春になると、遠くの景色がかすんで見えにくくなる「春霞(はるがすみ)」。春の夜に霞む月は、唱歌『朧月夜 おぼろづきよ』や『月はおぼろに東山(祇園小唄)』などに歌われてきた。
春の風物詩ともいえる春霞だが、一体なぜ、春にだけ空が霞む気象現象がみられるのだろうか?
写真:春の早朝(出典:GANREF/撮影者:すずろ)
霞(かすみ)が春に起こる理由について、まずは気象情報会社「ウェザーニューズ WEATHERNEWS」の解説を見てみよう。
ウェザーニューズの解説
ウェザーニューズの解説によれば、霞(かすみ)が起こる原因について、大気中の水蒸気やチリ・ホコリが高気圧の下降気流に押され、地上付近で層となって太陽光を散乱させることから、空が霞んで見えるのだという。
画像:春の空が霞む原因(出典:ウェザーニューズ)
なお、ウェザーニューズの解説では、春の空が霞むもう一つの大きな原因として、中国の砂漠から飛来する「黄砂(こうさ)」が挙げられるという。
春に起こる理由が知りたかったが…
空が霞む現象の仕組みは分かったが、これらがなぜ春に集中して起こるのかについては、ウェザーニューズの解説ではあまり明確になっていなかった。
そこで次は、これらの現象が春に発生する理由に焦点を当てて、ウィキペディアの解説を見てみたい。
ウィキペディアの解説
ウィキペディアにおける「春霞(はるがすみ)」の解説によれば、「植物の蒸散の活発化」、「昼夜の気温差」などが原因として挙げられている。
霞や霧は、大気中の水分が植物の蒸散が活発化するなどの要因によって増え、気温の低下などによって微粒子状(細かい水滴)となり、目に見える状態になる。昼と夜の変わり目で気温差の大きい日に起こりやすい。
<引用:ウィキペディア「春霞」の解説より>
「植物の蒸散」とは、植物から水分が蒸発して大気中に放出される現象。春になると植物が一斉に芽吹くので、そこから蒸発する水分量も多くなるのだろう。
昼夜の寒暖差については春や秋に起こりやすいが、気温差が大きいと大気中の水分が目に見える状態になりやすいようだ。
黄砂が春に多い理由は?
春の空が霞むもう一つの原因である「黄砂(こうさ)」が春に多く飛来する理由はなんだろうか?
写真:中国・朝鮮半島・日本に広がる黄砂(2001年3月21日/NASA)
この点については、ウィキペディアの「黄砂」の解説が参考になる。
冬は、シベリア高気圧の影響で風があまり強くない穏やかな天候が続くうえ、ほとんどの乾燥地帯の表土は積雪に覆われてしまうため、黄砂が発生しにくい。
春になると、表土を覆った積雪が融け、高気圧の勢力が弱まる代わりに偏西風が強まり、低気圧が発達しながら通過するなどして風が強い日が増えるため、黄砂の発生も増えると考えられている。
春の中盤に入り暖かくなってくると植物が増え、夏になると雨も多くなるため、土壌が地面に固定されるようになって次第に黄砂の量は減り、秋に最少となる。
<引用:ウィキペディア「黄砂」の解説より>
春は、偏西風と低気圧の発達により、日本へ飛来する黄砂の量が増えるようだ。
まとめ
春の高気圧で地上付近にホコリや水蒸気が層となり、水蒸気は寒暖差で細かい水滴となって、春の空が霞む原因となる。
また、春に多く飛来する黄砂によっても、春の空はかすみやすくなる。
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