雪の進軍

日清戦争における威海衛の戦いでの苦しい体験が元に

『雪の進軍』は、日本陸軍軍楽隊の永井 建子(ながい けんし/1865-1940)が作曲した日本の軍歌。歌詞は、日清戦争における威海衛の戦いに軍楽隊員として従軍した経験に基づいている。

威海衛(いかいえい)の戦いは、1895年(明治28年)1月に中国の山東半島で勃発した局地戦。中国の威海衛湾に立てこもる北洋艦隊を殲滅し制海権を完全掌握する狙いがあった。

当時の日本軍は、雪中戦における適切な装備や防寒方法を有しておらず、現地では凍傷が多発。前線では食糧・水・燃料が不足し、兵士や軍夫らは寒さと空腹に苦しんだという。

『雪の進軍』の歌詞では、作曲者の永井による威海衛でのこうした苦しい体験が反映されている。戦意高揚を大きな目的とする軍歌としては相応しくない歌詞だとして、太平洋戦争中には歌唱禁止の扱いもなされたようだ(形式的に)。

現代では、1977年の日本映画『八甲田山』劇中歌や、2012年のアニメ「ガールズ&パンツァー」劇中曲として使われている。

【試聴】 雪の進軍

【試聴】 雪の進軍 ガールズ&パンツァー

歌詞

一、
雪の進軍氷を踏んで
どれが河やら道さえ知れず
馬は斃(たお)れる 捨ててもおけず
ここは何処(いずく)ぞ皆敵の国
ままよ大胆一服やれば
頼み少なや煙草が二本

二、
焼かぬ乾魚(ひもの)に半煮(はんに)え飯に
なまじ生命(いのち)のあるそのうちは
こらえ切れない寒さの焚火
煙(けむ)いはずだよ生木が燻(いぶ)る
渋い顔して功名噺(ばなし)
「すい」というのは梅干一つ

三、
着の身着のまま気楽な臥所(ふしど)
背嚢枕に外套かぶりゃ
背(せな)の温(ぬく)みで雪解けかかる
夜具の黍殻(きびがら)しっぽり濡れて
結びかねたる露営の夢を
月は冷たく顔覗き込む

四、
命捧げて出てきた身ゆえ
死ぬる覚悟で吶喊(とっかん)すれど
武運拙(つたな)く討死にせねば
義理にからめた恤兵真綿(じゅっぺいまわた)
そろりそろりと頚(くび)締めかかる
どうせ生きては還らぬ積り

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