向う横丁のお稲荷さん 歌詞の意味

向う横丁のお稲荷さん 歌詞の意味

一銭あげて ざっとおがんで お仙の茶屋へ

『向う横丁のお稲荷さん』は、江戸時代から伝わる古いわらべうた。毬つきうた、手毬うた、お手玉うたとして親しまれた。

歌詞に登場する「お仙(おせん)」は、江戸中期に実在した茶屋の美人看板娘のこと。この『向う横丁のお稲荷さん』は、彼女の人気が生んだ江戸の流行歌である。

お仙については「お仙 おせん 茶屋の美人看板娘」で詳しくまとめている。

写真は、大阪府高槻市にある笠森稲荷(笠森神社)。ここから江戸の谷中へ勧請された稲荷社の境内(または門前)の茶屋でお仙が働いていた。

【試聴】向こう横町のお稲荷さん(舞台芸として)

歌詞の一例(わらべうた・毬つき歌として)

向う横丁のお稲荷さんへ
一銭あげて ざっとおがんで お仙の茶屋へ
腰をかけたら 渋茶を出した
渋茶よこよこ 横目で見たらば
米の団子か 土の団子か
お団子 団子
この団子を 犬にやろうか
猫にやろうか
とうとう とんびに さらわれた

落語・寄席での珍芸「ステテコ踊り」

明治中期に活躍した落語家の初代・三遊亭 圓遊(1850-1907)は、わらべうた『向う横丁のお稲荷さん』の歌に合わせて、「すててこ てこてこ♪」と軽妙な囃子詞(はやしことば)で寄席舞踊「ステテコ踊り」を披露し、大変人気を博したという。

この「ステテコ踊り」では、着物の裾をまくって半股引(はんだこ/半ダコ)を見せて踊っていたことから、膝下丈まであるズボン下が「ステテコ」と呼ばれるようになったとされている(異説あり)。

三遊亭 圓遊の「ステテコ踊り」で歌われる『向う横丁のお稲荷さん』の歌詞は、わらべうたとしての歌詞とは若干異なっている。参考までに「ステテコ踊り」版の歌詞を掲載しておくので適宜参照されたい。

ステテコ踊り版の歌詞(一例)

1.向う横丁のお稲荷さんへ
一銭あげて ざっと拝んで おせんが茶屋へ
腰を掛けたら 渋茶を出して
渋茶よこよこ 横目で見たらば
米の団子か 土の団子か お団子団子

またまたそんなこちゃ 真打にゃなれね
あんよを叩いてしっかり おやりよ
おまはんのあしばとおもっちゃいけね
ひとのあしばと思っておたたき

2.さても酒席の大一座
小粋な男子の振りごとや
端唄に大津絵 字余り都々逸
甚句にかっぽれ 賑やかで
芸者に浮かれて 皆さまご愉快
お酌のステテコ 太鼓を叩いて
三味線枕で ゴロニャンゴロニャン

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