すずめのおやど(雀のお宿)

ルーツは19世紀アメリカの幼児教育ソング

『すずめのおやど(雀のお宿)』は、1947年(昭和22年)発行の音楽教科書「一ねんせいのおんがく」に掲載された子供向けの歌。

歌いだしは「すずめ すずめ おやどはどこだ」。歌詞は、日本のおとぎ話「舌切り雀」のストーリーをある程度踏まえた内容となっている。

『すずめのおやど』には元歌がある。1887年(明治20年)に明治政府が発行した音楽教科書「幼稚園唱歌集」に掲載された『進め進め』がそのオリジナルの曲だ(メロディは同じ)。

曲名を比較するだけでもすぐに分かるが、「進め(すすめ)」と「すずめ」で音が似ており、まるで駄洒落・替え歌のような関係になっている。ただ、関係があるのはこの点のみで、他の歌詞については内容的な関連性はまったくない。

【試聴】すずめのおやど

原曲は19世紀アメリカの幼児教育ソング

さらに、元歌の『進め進め』についても元歌がある。同曲は、19世紀前半のアメリカで出版された幼児教育向けの歌『Children, Go, To And Fro(チルドレン・ゴー・トゥー・アンド・フロー)』を日本語にある程度訳した楽曲となっている。

当時の明治政府は、音楽の分野でも急ピッチで西洋文明を取り入れるべく、ヨーロッパの民謡・童謡に日本語歌詞をつけて、和洋折衷の音楽教材として活用していた。

当時生み出された「和洋折衷の音楽教材」で有名な曲としては、『仰げば尊し』、『蛍の光』、『むすんでひらいて』、『庭の千草』などが今日も歌いつがれている。

『進め進め』が掲載された「幼稚園唱歌集」では、『蝶々(ちょうちょ)』、『霞か雲か』、『蜜蜂(ぶんぶんぶん)』などの有名な外国曲が取り入れられた。

フランス民謡説はどこから?

余談だが、『すずめのおやど(雀のお宿)』が「フランス民謡」として紹介されているケースをよく見かける。

先ほど紹介した19世紀アメリカの幼児ソング『Children, Go, To And Fro』については、アメリカ議会図書館がネット上で公開している当時の楽譜(作曲者も)で同一性を客観的に確認できるので、直接的なルーツがアメリカの曲であることは確度が高い。

仮にフランスの要素が入るとしたら、この『Children, Go, To And Fro』が何らかのフランス民謡を取り入れて作曲された可能性があるが、それを裏付ける客観的な資料は見つかっていないようだ。

歌詞『すずめのおやど』

すずめ すずめ
おやどは どこだ
ちっちっち ちっちっち
こちらでござる

おじいさん よくおいで
ごちそう いたしましょう
お茶に お菓子
おみやげ つづら

さよなら 帰りましょう
ごきげん よろしゅう
来年の春も
またまた まいりましょう

歌詞『進め進め』

進め すすめ 足疾(と)く すすめ
止まれ とまれ 一度にとまれ
止まるも 行くも 教えのままに
立つも 居るも 教えのままに

咲く花も 鳴く鳥も 面白き 花園や
進め すすめ 足疾く すすめ

学べ まなべ つとめて 学べ
習え ならえ たゆまず 習え
学びの道を たえせず 習え
読むも 書くも 教えのままに

読む ふみも 書く もじも
面白き 初学(ういまなび)
学べ まなべ つとめて 学べ

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