何をおっしゃるウサギさん 元ネタ・意味・由来

もしもしかめよ かめさんよ どうしてそんなに のろいのか

「何をおっしゃるウサギさん」という台詞をアニメや漫画で見かけたことはないだろうか?日常会話でもまれに使われるこの有名なフレーズの元ネタ・由来・意味について、簡単に解説してみたい。

ウサギさんの顔

結論から言えば、この「何をおっしゃるウサギさん」は、「もしもしカメよ」の歌い出しで有名な童謡・唱歌『うさぎとかめ』の次のような歌詞に由来している。

もしもし かめよ かめさんよ
せかいのうちで おまえほど
あゆみの のろい ものはない
どうして そんなに のろいのか

なんと おっしゃる うさぎさん
そんなら おまえと かけくらべ

この歌詞では、足が遅い(のろい)とウサギにバカにされたカメが、傲慢なウサギの発言に少し飽きれた様子で「なんとおっしゃるウサギさん」と言い返した場面が描かれている。

「何をおっしゃる」と「なんとおっしゃる」で助詞の微妙な違いはあるが、これが「何をおっしゃるウサギさん」の元ネタ・由来であると考えて間違いないだろう。

七五調のリズム

「何をおっしゃるウサギさん」のルーツである『うさぎとかめ』の歌詞をよく見ると、「もしもしかめよ(7文字)かめさんよ(5文字)」のように、七五調のリズムで歌詞が整えられていることが分かる。

ウサギとカメ

「なんとおっしゃるウサギさん」についても、この七五調のリズムに乗せて歌詞が配置されている。

七五調は昔の唱歌や童謡などによく見られるが、現代の歌謡曲やアニメソングにもいくつか使われている。

その中で、「何をおっしゃるウサギさん」と七五調が両方取り入れられたアニメソングがある。それは、80年代アニメ「パタリロ!」のエンディング曲『クックロビン音頭』だ。

パタリロの『クックロビン音頭』にも

アニメ「パタリロ!」は、漫画雑誌「花とゆめ」で1978年から連載されている魔夜峰央のギャグ漫画が原作。2016年・2018年に舞台化されるなど息の長い人気作品となっている。

パタリロ サントラCD

アニメ「パタリロ!」のエンディング曲は、「誰が殺したクックロビン!」で有名な『クックロビン音頭』。

上述の『うさぎとかめ』と同様に七五調の歌詞となっており、さらにあの「何をおっしゃるウサギさん」のフレーズもそのまま取り入れられている。

パパンがパン
だーれが殺した クックロビン
だーれが殺した クックロビン
花は爛漫 咲きみだれ
のどかなごやか 常春の
マリネラ一(いち)の 美少年
それがパタリロ 天才奇才
何をおっしゃる ウサギさん

<引用:『クックロビン音頭』一番の歌詞より>

この『クックロビン音頭』の歌詞では、最初に「美少年」「天才奇才」とパタリロを褒めちぎりながらも、その流れを「何をおっしゃる ウサギさん」で自らスパっと分断し、その後の歌詞でパタリロを「つぶれあんまん」だとバカにする流れとなっている。

この曲における「何をおっしゃる ウサギさん」は、歌詞の流れをガラッと転換する大きな役割を果たしていることが良く分かる。

ちなみに、「それがパタリロ 天才奇才」の「天才奇才(てんさいきさい)」については、「さ」の音がリズムよく二回繰り返されているが、これはその直後の「何をおっしゃる ウサギさん」でも同様に、「さ」の音が二回登場する。これは決して偶然ではないだろう。

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