村の鍛冶屋(かじや)

日本の童謡・唱歌/刀はうたねど大鎌小鎌 平和の打ち物休まずうちて

「しばしも休まず 槌(つち)うつ響き」が歌い出しの童謡『村の鍛冶屋(かじや)』は、1912年刊行「尋常小学唱歌」で発表された文部省唱歌。作詞・作曲者は不明。

日本における「鍛冶屋」と言えば、武士の時代に武器の生産をしていた刀鍛冶・鉄砲鍛冶が思い浮かぶが、この童謡・唱歌『村の鍛冶屋(かじや)』では、料理道具や農具を扱ういわゆる「野鍛冶」を題材としている。

1912年に文部省唱歌として出版された当時の3番の歌詞を見ると、「刀はうたねど大鎌小鎌、馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ)鋤(すき)よ鉈よ」とあり、刀ではなく「平和の打ち物」を打つ「野鍛冶」の歌であることがよく分かる。

文部省唱歌『村の鍛冶屋』3番以降はその後歌われなくなり、昭和22年にはひらがな表記の童謡「村のかじや」に改められた。改訂後の2番の歌詞「うち出す鋤鍬 心こもる」の部分に「野鍛冶」を示す表現が残されている。

【試聴】少年少女合唱 村の鍛冶屋(かじや)

【試聴】村の鍛冶屋 女声合唱

童謡 『村のかじや』 (昭和22年改訂版)

しばしも休まず 槌うつ響き
飛び散る火花よ 走る湯玉
ふいごの風さえ 息をもつがず
仕事に精出す 村の鍛冶屋

あるじは名高い 働き者よ
早起き早寝の やまい知らず
永年鍛えた 自慢の腕で
打ち出す鋤鍬(すき くわ)心こもる

文部省唱歌 『村の鍛冶屋』 1912年初版

一、
暫時(しばし)も止まずに 槌打つ響
飛び散る火の花 はしる湯玉
鞴(ふいご)の風さへ 息をもつがず
仕事に精出す 村の鍛冶屋

二、
あるじは名高き いつこく老爺(おやぢ)
早起き早寝の 病(やまい)知らず
鐵より堅しと 誇れる腕に
勝りて堅きは 彼が心

三、
刀はうたねど 大鎌小鎌
馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐは) 鋤(すき)よ鉈よ
平和の打ち物 休まずうちて
日毎に戰ふ 懶惰(らんだ)の敵と

四、
稼ぐにおひつく 貧乏なくて
名物鍛冶屋は 日日に繁昌
あたりに類なき 仕事のほまれ
槌うつ響に まして高し

関連リンク

ヘンデル『調子のよい鍛冶屋』
ヘンデル『ハープシコード組曲 第5番 ホ長調』 終曲
ヴェルディ『鍛冶屋の合唱』
ヴェルディのオペラ「イル・トロヴァトーレ Il Trovatore」で歌われるコーラス曲。
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