おてもやん 歌詞の意味 熊本県民謡

おてもやん 歌詞の意味 熊本県民謡

ピーチク パーチク ひばりのこ♪

『おてもやん』は、江戸時代末期から伝わる熊本県民謡。熊本の夏祭り「火の国まつり」の「おてもやん総踊り」が有名(写真の出典:火の国まつりWebサイト)。

『おてもやん』の歌詞については難解な部分が多く、その意味や解釈については諸説入り乱れている。

このページでは、分かりやすく歌詞の現代語訳を行うとともに、ポイントとなる単語の意味について簡単に解説していく。

 

【試聴】熊本民謡 おてもやん

一番の歌詞

おてもやん あんたこの頃
嫁入りしたではないかいな

嫁入りしたこつぁしたばってん
ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん
まあだ 杯ゃせんだった

村役 鳶役 肝煎りどん
あん人たちの おらすけんで
あとはどうなと きゃあなろたい

川端町っつあん きゃあめぐろ(曲がろうたい)
春日ぼうぶらどんたちゃ
尻ひっぴゃあて(ふっぱって) 花盛り 花盛り

ピーチクパーチク ひばりのこ
げんぱくなすびの いがいがどん

歌詞の意味(現代語訳)

おてもやん あなた最近
お嫁にいったんじゃなかったの?

嫁入りしたにはしたんだけど
旦那が痘痕(あばた)で酷かったから
まだ式はあげてなかったのよ

村の役付きや火消し役、世話役
あの人たちがいるから
あとはどうにかなるわよ

川端町の方へ廻って行きましょ
春日のカボチャ達は 尻を出して
花盛り 花盛り

ピーチク パーチク鳴くひばり(雲雀)の子
醜いなすびのイガイガ達

「おてもやん」の意味は?

仲井幸二郎「口訳 日本民謡集」(蒼洋社)によれば、「おてもやん」の「ても」は、下働きの下女を意味する「テマ」が訛ったもと解説している。

「お」は丁寧語、「やん」は身分の低い者への呼称・愛称であることから、「おてもやん」は「女中さん」といった意味合いに解釈できることになる。

これ以外にも、肥後の女性全般を指す言葉とする説や、 「ても」とは「つくね芋」を意味する「手芋(ていも)」のことだとする説など様々ある。

カボチャ以降の歌詞について

ぼうぶら(カボチャ)以降の歌詞については、単なる現代語訳では意味がとおりにくく、ある程度の意訳や補完が必要になってくる。

ネットで調べていくと、主人公の女性「おてもやん」が見栄えの悪い男たちをうっとうしく感じてる様子として解釈するケースが多いようだ。

なお、ピーチクパーチク以降については、一番の締めくくりのお囃子(おはやし)としての意味合いが強く、1番の歌詞本文とは意味上のつながりはないと考えられる。

ただ、ここもあえて本文と意味をつなげて解釈してもそれは聞き手の自由であることは言うまでもない。

げんぱくなすびとは?

「げんぱくなすび(茄子)」の意味については諸説あるが、「解体新書」で知られる江戸時代の蘭学者・杉田玄白が広めたナスとする説がネットで散見される。

他には、「げんぱく」を「気持ち悪い」「吐き戻す」などを意味する方言として解釈し、げんぱくなすびを「見た目の悪いナス」として説明を試みる考えもあるようだ。

また、げんぱくなすびとは「イガナス(朝鮮朝顔)」(上写真)であると説明する書籍もある(写真の出典:ブログ「野草が好き」)。

イガナスは曼荼羅華(マンダラゲ)とも呼ばれるナス科の植物で、江戸時代に華岡青洲(はなおか せいしゅう)が麻酔薬の原料に用いたことで有名。

イガナスの実はいがぐりのようにとげとげしい見た目なので、歌詞の最後の「いがいがどん」とも自然な流れでつながり、「気持ち悪い」の意味の「げんばく」としても意味が通る。

二番の歌詞

一つ山越え も一つ山超え あの山越えて
私やあんたに 惚れとるばい
惚れとるばってん いわれんたい

追々彼岸も近まれば
若者衆(わきゃもんしゅう)も寄らすけん
くまんどん(熊本)の よじょもん詣りに
ゆるゆる話を きゃあしゅうたい

男振りには惚れんばな
煙草入れの銀金具が
それもそもそも因縁たい

アカチャカベッチャカ チャカチャカチャ

歌詞の意味(現代語訳)

いくつも山々を越え
私は貴方に惚れている
惚れてるからこそ言えない

やがてお彼岸も近づいてきて
若者たちも集まってくる

熊本の夜聴聞(よじょもん)のときに
ゆっくり話をしてみたい

見た目で惚れたわけじゃない
煙草入れの銀金具に惹かれただけ

(アカチャカ…は意味のない囃子詞)

夜聴聞(よじょもん)とは?

「夜聴聞(よじょもん)」とは、夜にお寺で行われる説教・説法を聴く会のこと。住職のありがたい法話を聴くという建前の下、男女の出会いの場としても機能していたようだ。

炭坑節との関係は?

余談だが、2番の歌詞の冒頭「一つ山越え も一つ山超え あの山越えて」は、後世に作曲された『炭坑節(たんこうぶし)』の歌詞「一山 二山 三山 越え♪」のルーツと考えられる。

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