お立ち酒 宮城県民謡

おまえお立ちか お名残り惜しい 名残り情けの くくみ酒

「おまえお立ちか お名残り惜しい」が歌い出しの『お立ち酒』は、婚礼の祝宴などで歌われる宮城県民謡。宮城県黒川郡大和町が発祥とされるが、幕末頃の江戸の俗謡・流行歌に由来するとの説も。

「お立ち」とは、ここでは花嫁が実家に別れを告げて嫁ぎ先へ出発することを意味している。江戸時代などの伝統的な「嫁入り」において、嫁方の親族と花嫁が縁切りをする別れの酒が『お立ち酒』である。

花嫁道中・嫁入り道中

写真:花嫁道中・嫁入り道中(出典:なびたび北東北

花嫁が嫁ぎ先へ向かう花嫁道中行列では、嫁入り道具などは「長持(ながもち)」と呼ばれる大きな木箱で運ばれ、それを前後で担ぐ運び手によって『長持唄(ながもちうた)』が唄われる。

ちなみに、宮城県黒川郡大和町では、毎年11月に『お立ち酒』歌唱コンテスト「お立ち酒全国大会」が開催され、全国各地から民謡愛好者が集い歌声を競う。

【試聴】お立ち酒全国大会

歌詞の一例

おまえお立ちか お名残り惜しい
名残り情けの くくみ酒

またも来るから 身を大切に
流行風邪など 引かぬよに

今日は日もよし 天気もよいし
七福神も お酒盛り

めでたうれしや 思うこと叶うた
末は鶴亀 五葉の松

くくみ酒とは?

「くくみ酒」の意味については諸説あり、はっきりしない。口に含むことを意味する古語「くくむ(銜む)」から、「くくみ」に「含み」の漢字を当てるケースが見られる。

「くくみ」の「くみ」は、酒を「酌む(くむ)・酌み交わす」の意味合いもありそうだが、真相は不明だ。

『出船』との関係について

1928年(昭和3年)に発表された日本の歌曲『出船』(でふね)では、『お立ち酒』の歌い出しと似た歌詞が登場する。『出船』歌い出しの歌詞は次のとおり。

今宵(こよい)出船か お名残惜しや

<引用:『出船』一番の歌詞 冒頭より>

完全一致ではないが、『お立ち酒』の歌い出しと明確な部分的な一致が見られ、両曲の関連性が伺われる。

『出船』が『お立ち酒』を直接参考にしたのか、それとも『お立ち酒』の原曲と言われる幕末頃の江戸の俗謡・流行歌を参考にしたのか、様々に考えられるが詳細は不明。

そもそも、『お立ち酒』に原曲があるのかどうかも明確ではないので、今後この「お名残惜しや」のフレーズについては今後の追加調査が必要だ。

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