女ひとり 歌詞の意味 京都 大原 三千院

京都各所の寺院と絹織物が歌い込まれた京都のご当地ソング

「京都 大原 三千院♪」が歌いだしの『女ひとり』は、1965年(昭和40年)にリリースされた京都ご当地ソング。作詞:永六輔、作曲:いずみたく。

オリジナルの歌手は、男性4人のボーカルグループ、デューク・エイセス。その後、由紀さおり、石川さゆり、川中美幸、一青窈(ひとと よう)、テレサ・テン、島倉千代子など、数多くの女性歌手にカバーされている。

歌詞では、京都の三千院、高山寺、大覚寺の三つの寺院が登場するとともに、結城紬(ゆうきつむぎ)、大島紬、塩沢紬といった絹織物・和服について描写されている。

ちなみに、歌いだしのメロディは、テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」オープニングテーマ曲・主題歌に雰囲気が似ている(後述)。

写真:三千院(京都市左京区大原/出典:JR東海ミュージアム)

【YouTube】 石川さゆり - 女ひとり

【YouTube】 女ひとり デューク・エイセス

結城紬について

『女ひとり』一番の歌詞で歌われる結城紬(ゆうきつむぎ)は、茨城県西部の結城市や、隣接する栃木県小山市などで主に生産される絹織物。奈良時代から続く高級織物で、国の重要無形文化財に指定されている。

結城に塩瀬の 素描の帯が

塩瀬(しおぜ)とは、厚地の羽二重のこと。塩瀬羽二重(しおぜ はぶたえ)とも呼ばれる。羽二重は、生糸を用いた絹織物で、肌触りがよく、光沢・つやがある。

素描(すがき)の帯とは、糊を入れた染料を筆につけて日本画のように柄を描いた布地で作られた帯のこと。

二番の歌詞について

『女ひとり』二番の歌詞では、京都市右京区栂尾町(とがのおちょう)にある高山寺(こうざんじ)が歌われている(下写真:出典:Wikipedia)

さらに二番の歌詞では、鹿児島県・奄美大島の伝統工芸品である大島紬(おおしまつむぎ)が取り上げられ、「つづれの帯」が石畳に影を落とす様子が描写されている。

「つづれの帯」とは、横糸だけで文様を表現する「つづれ織」の技法が用いられた帯のこと。つづれ織は特に京都・西陣織で用いられる。

三番の歌詞について

『女ひとり』三番の歌詞では、京都市右京区嵯峨にある大覚寺が登場する(下写真/出典:Wikipedia)。

大覚寺は、東映太秦映画村など時代劇の撮影所が多い太秦(うずまさ)が近く、寺の境内が時代劇の撮影に何度か使われている。

三番の歌詞で歌われる絹織物は、新潟県南魚沼市周辺で織られている塩沢紬(しおざわつむぎ)。蚊絣(かがすり)・十字絣(じゅうじがすり)・亀甲絣(きっこうがすり)などの細かい絣模様(かすりもよう)が特色。

歌詞にある「名古屋帯」とは、正装用の袋帯よりも長さが短く一重太鼓結びにする長さの帯で、軽く締めやすいのが特徴。名古屋発祥。

「まんが日本昔ばなし」オープニング曲に似てる?

余談だが、『女ひとり』の歌いだしのメロディは、1975年から1994年まで全国ネット放映されていたテレビアニメ「まんが日本昔ばなし」のオープニング曲に雰囲気が良く似ている。

『女ひとり』は1965年リリースの曲であり、「まんが日本昔ばなし」オープニング曲は1975年に放送開始された曲。後者が前者の影響を受けている可能性があることになる。

作曲者は、『骨まで愛して』、瀬川瑛子『命くれない』などを手掛けた北原じゅん。

もちろん問題のない他人の空似だが、どうしても「まんが日本昔ばなし」の曲が思い浮かんでしまうという方も少なくないだろう。

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