川の流れのように 元ネタ・似てる曲

美空ひばり生前最後のシングル曲 作詞はAKB48の秋元康P

『川の流れのように』は、作詞:秋元康、作曲:見岳章により1989年1月11日に発売された美空ひばり生前最後のシングル曲。

1997年にNHKが実施した人気投票「20世紀の日本人を感動させた歌」ではランキング1位を獲得。2006年に文化庁が選定した「日本の歌百選」にもリストアップされている。

美空ひばりベスト

ジャケット写真:美空ひばりベスト 1964~1989 ダウンロード版(試聴あり)

ところで、『川の流れのように』をネットで検索してみたところ、その歌詞やメロディについて、「元ネタ・似てる曲」的な考察をいくつか見かけた。

つまり、作詞者や作曲者の仕事内容について、ある種の疑念が持たれているということだ。もちろん歌手である美空ひばりには関係がない。

これは俗に言う「パクリ・盗作」ではなく、あくまでも「影響を与えた」程度の「他人の空似」だが、興味深い情報が見受けられたので、参考までにこのページでまとめておくこととしたい。

【試聴】 最後の映像 美空ひばり/川の流れのように

ニューヨークの川から着想?

音楽業界サイト「musicman-net」による作詞者・秋元康氏へのインタビュー記事によれば、『川の流れのように』は秋元氏がニューヨークに住んでいた頃に書き上げた曲だったという。

ニューヨークのイーストリバー

作詞当時、秋元氏はニューヨークのイーストリバー沿いに住んでいたようだ。

結局ニューヨークには1年半くらいいたんですが、1年くらい過ぎてだんだん望郷の念もあったりして、「俺は何やってるんだろう」と思ったんですね。僕は31丁目にあるコンドミニアムに住んでいたんですが、その部屋の下にイーストリバーが流れていて、それを眺めながら「この川をずっといくと海に繋がって、その海は日本に繋がってるんだろうな」とか、ぼんやり考えていたんですよ。

<引用:musicman-net インタビュー記事より>

『川の流れのように』という曲名については、インタビューの中で次のように答えている。

いつも、詞は全体を書いてから最後にタイトルを書くことが多いんですが、そのときは何も考えずに「川の流れのように」というタイトルから書いたんですね。それはなぜかと訊かれても僕には全然わからなくて、インタビューとかで訊かれる度に「多分それはずっとイーストリバーを見ていたからなんでしょう」と答えています。あのイーストリバーが自分の中にすり込まれていて、だから「川の流れのように」って書いたんだろうなと。

<引用:musicman-net インタビュー記事より>

日本で大ヒットした川の歌の源流が、実はニューヨークのイーストリバーだったとは興味深い事実だ。

吉田拓郎『川の流れの如く』

ネットの情報によれば、『川の流れのように』と曲名や歌詞が似ている曲として、吉田拓郎『川の流れの如く』という曲が挙げられていた。

『川の流れの如く』は、吉田拓郎が1971年11月20日にリリースしたアルバム「人間なんて」の11曲目に収録された楽曲。

『川の流れのように』との比較のため、『川の流れの如く』の歌詞の前半を次のとおり引用する。

誰を信じるものではなく
ただ自分のためにと
心を動かされながらも
この道を歩いてきました

いつか涙も枯れ果て
もう生きる事でさえが
時計のフリコの様に
ただいつもの繰り返しでした

今私の全ては
あの川の流れの様に
作り作られた
ものではないかと

あの川の流れの如く
何が悪いなどと云わず
自分を責めてみるでなし
水面に浮かぶ木の葉と共に
流れて行きたいと思う

<引用:吉田拓郎『川の流れの如く』歌詞の前半より>

確かに、歌詞の内容を見てみると、曲名だけではなく部分的に『川の流れのように』を思わせる部分があることが分かり、大変興味深い。

ボブ・ディラン『川の流れを見つめて』

ちなみに、吉田拓郎『川の流れの如く』より約半年前には、ボブ・ディラン(Bob Dylan/1941-)がシングル曲『川の流れを見つめて』をリリースしている。

英語の曲名は『Watching the River Flow』(ウォッチング・ザ・リバー・フロー)。

吉田拓郎とボブ・ディランの楽曲には、曲名の「川の流れ」という点以外に関連性は見られなかった。

過去の作品の歌詞を転用?

ネットの情報によれば、秋元康氏が作詞した森進一『あっという間』という歌謡曲の歌詞の冒頭には、『川の流れのように』の歌詞と部分的に一致する歌詞が使われているという。

瞼(まぶた) 閉じれば
遥か 故郷(ふるさと)
知らず 知らずに
涙があふれる

今日まで生きて来た
険しい道のりに
思い出だけが なぜか
目に染(し)みる

<引用:森進一『あっという間』/作詞:秋元康>

これはつまり、秋元康氏の過去の作品の歌詞を『川の流れのように』に流用したことになる。自分の作品なのだからもちろん違法性はないが、こういった仕事の仕方をあまり良く思わない人もいるかもしれない。

似たメロディの曲は?

ここまで曲名や歌詞の類似性を確認してきたが、次はメロディに焦点を当ててみたい。

ネットの情報によれば、『川の流れのように』のメロディに影響を与えた可能性がある曲として、谷村新司『昴(すばる)』と、洋楽の『ポインシアナ Poinciana』の2曲が挙げられていた。一曲ずつ見ていこう。

谷村新司『昴(すばる)』

谷村新司『昴(すばる)』は、1980年4月にリリースされた谷村新司のシングル曲。『川の流れのように』のリリースは1989年1月。

『昴(すばる)』が『川の流れのように』と似ている部分を強いて挙げるとすれば、冒頭のAメロと、Bメロの「ああ 砕け散る宿命(さだめ)の星たちよ」の「ああ」の部分のところだろうか。

【試聴】谷村新司『昴(すばる)』

『川の流れのように』の作曲者が『昴(すばる)』を参考にしたかどうかのコメントがないため、両曲の関係性は不明。この程度の類似性であれば何ら問題にはならないだろう。

ポインシアナ Poinciana

『ポインシアナ Poinciana』は、1936年作曲のポピュラーミュージック。フランク・シナトラやナット・キング・コールなど数多くのアーティストにカバーされている。

同曲には、『川の流れのように』のサビを思わせるメロディが繰り返し登場する。

【試聴】ポインシアナ Poinciana

確かに何らかの影響を受けている可能性があるが、これも問題になるほどのものではないだろう。

ただ、一度でも『ポインシアナ Poinciana』を聞いてしまうと、その後の『川の流れのように』の印象が少し変わってしまうかもしれない。強いて言えばその程度の話だ。

似てしまうのは仕方がない

『川の流れのように』に限らず、音楽作品は他の様々な作品から影響を受けて作曲されるもの。『聖母たちのララバイ』のような丸パクリは論外だが、『川の流れのように』で指摘されるような程度の類似性はよくある話だ。

ただ、それが美空ひばりの楽曲について生じてしまうと、従来の美空ひばりファンから厳しい意見を受けることは避けられないかもしれない。それが遺作となればなおさらのことだ。

何はともあれ、『川の流れのように』は国民的歌謡曲として今後も長きにわたって愛聴されていくことだろう。

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