スタンド・バイ・ミー 歌詞の意味・和訳

映画主題歌としてリバイバルヒットしたベン・E・キングの楽曲

『Stand by Me』(スタンド・バイ・ミー)は、1961年にアメリカで発表されたベン・E・キング(Ben E. King)の楽曲。

1986年に公開された同名のアメリカ映画で主題歌として用いられリバイバル・ヒットした。

歌詞では、同名の黒人霊歌『Stand by Me』の歌詞や、旧約聖書「詩篇」、「イザヤ書」など、キリスト教からの影響が少なからず見受けられる。

映画 スタンド・バイ・ミー Blu-ray

ジャケット写真:映画「スタンド・バイ・ミー」Blu-ray

このページでは、まず映画主題歌となったベン・E・キング(Ben E. King)の楽曲『Stand by Me』の英語の歌詞の意味・和訳を掲載したうえで、その歌詞のルーツ・元ネタとされる黒人霊歌『Stand by Me』や旧約聖書との関連性について、簡単にまとめてみたい。

【YouTube】スタンド・バイ・ミー Stand By Me

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Stand by Me』

ソングライター:ベン・E・キング、ジェリー・リーバー、マイク・ストーラー

When the night has come
And the land is dark
And the moon is the only light we'll see

夜が来て
大地は暗くなり
見えるのは月明かりだけ

No, I won't be afraid
Oh, I won't be afraid
Just as long as you stand, stand by me

怖くない
怖くなんかない
ただ君がいてくれる限り
僕のそばに

So darlin', darlin'
Stand by me, oh, stand by me
Oh, stand, stand by me
Stand by me

だから 大切な君
僕のそばにいて
ああ 僕のそばに
僕のそばにいて

If the sky that we look upon
Should tumble and fall
Or the mountain should crumble to the sea

もし僕らが見上げたあの空が
崩れ落ちるとしても
あの山が崩れて海へ沈むとしても

I won't cry, I won't cry
No, I won't shed a tear
Just as long as you stand, stand by me

僕は泣かない 泣いたりしない
そう 涙は流さない
ただ君がいてくれる限り
僕のそばに

And darlin', darlin'
Stand by me, oh, stand by me
Oh, stand now, stand by me
Stand by me

大切な君
僕のそばにいて
ああ 僕のそばに
僕のそばにいて

Darlin', darlin'
Stand by me, oh, stand by me
Oh, stand now, stand by me
Stand by me

大切な君
僕のそばにいて
ああ 僕のそばに
僕のそばにいて

Whenever you're in trouble
Won't you stand by me?
Oh, stand by me
Won't you stand now?
Oh, stand, stand by me

君が困ったときはいつでも
僕のそばにくればいい
ああ 僕のそばに
今いてほしいんだ
ああ 僕のそばに

歌詞の元ネタについて

上述のとおり、ベン・E・キング(Ben E. King)の楽曲『スタンド・バイ・ミー』の歌詞は、アメリカの牧師が1900年代初頭に作曲した同名の黒人霊歌『Stand by Me』が原曲・元ネタの一つと考えられている。

両曲とも曲名は同じ『Stand by Me』であり、歌詞でも「Stand by Me」というフレーズが繰り返し使用されているが、大きな違いが一つある。それは、「誰に」そばにいてほしいのか、という点だ。

ベン・E・キング『スタンド・バイ・ミー』では、「大切な人・愛しい人」にそばにいてほしいと歌詞で歌われているが、黒人霊歌『Stand by Me』では、人ではなく、「キリスト教における神」にそばにいてほしいとの宗教的な願いが描写されている。

歌詞の元ネタがキリスト教関連であるという点は、これだけにとどまらない。続いて、旧約聖書の「詩篇」および「イザヤ書」から、ベン・E・キング『スタンド・バイ・ミー』への影響について簡単に解説してみたい。

旧約聖書 詩篇からの影響

神への賛美の詩を収めた旧約聖書「詩篇(しへん Psalm)」。その第46篇は、ベン・E・キング『スタンド・バイ・ミー Stand By Me』の一部の歌詞と、内容的に共通点が見られる。

まずは、旧約聖書「詩篇(Psalm)」の該当箇所から次のとおり原文を抜粋し、日本語訳(意訳)を併記する。

Psalm 46:1

God is our refuge and strength, a very present help in trouble.

神は我らの避け所 我らの砦
苦難の時のいと近き助け

Psalm 46:2

Therefore will not we fear, though the earth be removed, and though the mountains be carried into the midst of the sea;

このゆえに
たとい大地が姿を変え
山が海の中へ移ろうとも
われらは恐れない

Psalm 46:3

Though the waters thereof roar and be troubled, though the mountains shake with the swelling thereof. Selah.

たとい海が鳴りとどろき 沸き返るとも
その高ぶる海に山が震え動くとも
われらは恐れない

『Stand by Me』との共通点は?

ベン・E・キング『スタンド・バイ・ミー』の歌詞にも、この詩篇46章のように、山が崩れて海に沈むといった天災地変のくだりが見られる。

細かい表現こそ違えど、両者の内容は、現実には恐らく起こりえない天変地異について言及するものであり、ベン・E・キング『スタンド・バイ・ミー』の歌詞の一部は、詩篇46章を意識した表現が用いられている可能性が考えられる。

ちなみに、この詩篇46章の冒頭部分は、パラフレーズ(Paraphrase)されて讃美歌『神はわがやぐら A Mighty Fortress Is Our God』として16世紀頃から歌われている。

作詞作曲は、宗教改革の創始者として有名なマルティン・ルター(Martin Luther/1483-1546)と考えられ、ルーテル派とプロテスタントに最も歌われる愛唱歌の一つとなっている。

旧約聖書 イザヤ書からの影響

旧約聖書「イザヤ書 Book of Isaiah」は、「エレミヤ書」、「エゼキエル書」に並ぶ三大預言書の一つ。66章から成るイザヤ書の41章10節を見ると、こんな記述が見られる。

Don't be afraid
For I am with you
Don't be discouraged
For I am your God

恐れるな。わたしはあなたとともにいる。
たじろぐな。わたしがあなたの神だから

この「恐れるな Don't be afraid」という表現は聖書で度々目にするフレーズ。Ben E. King 『Stand By Me』の歌詞では、このような旧約聖書の文言に対して、

No, I won't be afraid
Oh, I won't be afraid
Just as long as you stand
Stand by me

怖くない、怖くないさ
君がそばにいれば

とのアンサーソング的な歌詞をつけ、あたかも聖書の表現に暗に呼応するかのようなフレーズを織り込んでいる。

ちなみに、イザヤ書が元ネタの有名な楽曲としては、日本でも運動会やイベントなどで定番のフォークダンス曲『マイム・マイム』が世界的に有名。

ゴスペルのスタンド・バイ・ミーは別の曲

「スタンドバイミー」という曲名は、教会で歌われるゴスペルソングとしても耳にすることがある。ただこのゴスペルソングは、ベン・E・キングの楽曲がゴスペル風にアレンジされたものではなく、新たに作曲されたまったく別の曲。

そのタイトルは、『Oh Lord, Stand By Me オー・ロード、スタンド・バイ・ミー』。グラミー賞を受賞したゴスペル音楽家、リチャード・スモールウッド(Richard Smallwood/1948-)作曲による躍動感あふれるゴスペルソングだ。

なお、チャールズ牧師の黒人霊歌『Stand By Me』もゴスペル音楽として歌われるケースもあるようで、もしかしたらベン・E・キング版も教会等でゴスペルソングとして耳にする機会があるのかもしれない。

ベン・E・キングとは?

ベン・E・キング(Ben E. King/1938-2015)は、アメリカ・ノースカロライナ州出身のシンガーソングライター。

1953年に結成されたコーラス・グループ「ザ・ドリフターズ(The Drifters)」では、リードシンガーとして活躍した。

ベン・E・キング ベスト盤 Ben E. King

ジャケット写真:ベン・E・キング ベスト盤

ザ・ドリフターズは、R&B、ドゥーワップなどのジャンルを得意とし、リードボーカルとしてベン・E・キングが加入すると、『There Goes My Baby』、『ラストダンスは私に(Save the Last Dance for Me)』などのヒット曲を連発し、全盛期を迎えた。

ベン・E・キングは1960年にドリフターズを脱退。翌年にソロとしてリリースし大ヒットとなった曲が、映画主題歌にもなった『スタンド・バイ・ミー(Stand By Me)』である。

ちなみに、ベン・E・キングのベスト・アルバムに収録されている『Stand By Me』は、映画主題歌版とアレンジが異なる場合があるので、映画版を期待してアルバム購入される場合には要注意。

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