冬の散歩道 歌詞の意味・和訳

サイモン&ガーファンクル/ドラマ「人間・失格」挿入歌

『冬の散歩道』(原題:A Hazy Shade of Winter/ア・ヘイズィー・シェイド・オブ・ウィンター)は、サイモン&ガーファンクルが1966年に発表したシングル。

日本では、1994年のテレビドラマ「人間・失格 〜たとえばぼくが死んだら」挿入歌(オープニング・テーマ)として使用された。

冬の散歩道 S&G スター・ボックス

ジャケット写真:冬の散歩道 S&G スター・ボックス

このページでは、サイモン&ガーファンクル『冬の散歩道』の英語の歌詞について、歌詞の和訳(意訳)を掲載したうえで、その歌詞の中で使われている主な語句の意味について簡単に補足してみたい。

【YouTube】 Simon & Garfunkel - A Hazy Shade of Winter

歌詞の意味・和訳(意訳)

『A Hazy Shade of Winter』

作詞・作曲:ポール・サイモン

Time, time, time
See what's become of me
While I looked around
For my possibilities
I was so hard to please

時間よ 時間
見ろよ 僕の成れの果てを
探しまわってたのさ
自分の可能性ってやつを
満足なんてできない性格だった

But look around
Leaves are brown
And the sky is
A hazy shade of winter

辺りを見れば
木の葉は茶色
そして空は
冬のかすんだ暗い色

Hear the Salvation Army band
Down by the riverside's
Bound to be a better ride
Than what you've got planned
Carry your cup in your hand

救世軍の演奏が聞こえる
川岸を行けば
いい旅になるさ
君が考えてたよりもね
君のカップを持って行け

And look around you
Leaves are brown, now
And the sky is
A hazy shade of winter

辺りを見れば
木の葉は茶色
そして空は
冬のかすんだ暗い色

Hang on to your hopes, my friend
That's an easy thing to say
But if your hopes should pass away
Simply pretend that
You can build them again

希望を持ち続けろ 友よ
なんて言うのは簡単だ
望みが消え失せたとしても
また希望を作り出せるかのような
ふりをしておけばいい

Look around
The grass is high
The fields are ripe
It's the springtime of my life

辺りを見れば
草は茂り
畑は実る
僕の人生の春だ

Seasons change with the scenery
Weaving time in a tapestry
Won't you stop and remember me
At any convenient time?

季節は景色とともに変っていく
時間を織り込みながら
立ち止まって 僕を思い出して
いつでも都合のいい時に

<注:「you」は「季節」の擬人法的にも解釈できる>

Funny how my memory skips
Looking over manuscripts
Of unpublished rhyme
Drinking my vodka and lime

おかしなことに
僕の記憶はとびとびになる

ウォッカとライム酒を飲みながら
未発表の詩(ライム)の原稿に
目を通しているときに

I look around
Leaves are brown
And the sky is
A hazy shade of winter

辺りを見れば
木の葉は茶色
そして空は
冬のかすんだ暗い色

Look around
Leaves are brown
There's a patch of
Snow on the ground

辺りを見れば
木の葉は茶色
あちこちに地面の雪

<以下、2回繰り返し>

救世軍とは?

歌詞にある「the Salvation Army」(ザ・サルヴェイション・アーミー/救世軍)とは、19世紀イギリスで創設されたキリスト教プロテスタントの慈善団体のこと。

「Salvation(サルヴェイション)」とは、「救済、救助」などを意味する。特にキリスト教における宗教的な「魂の救済」の意味合いで使われることが多い。

現代では国連NGO(非政府組織)として、アメリカや日本などキリスト教圏で世界的な社会福祉・伝道活動を行っている。

救世軍による募金活動 社会鍋 クリスマス・ケトル Christmas kettle

毎年クリスマス・シーズンになると、救世軍による募金活動「社会鍋(クリスマス・ケトル/Christmas kettle)」が街頭で行われ、アメリカやイギリスでは、救世軍の楽隊によるクリスマス・ソングの演奏も年末の風物詩となっている。

写真:救世軍による社会鍋(出典:Wikipedia)

なぜ歌詞に救世軍?

なぜ『冬の散歩道』の歌詞に「救世軍」の描写が登場するのだろうか?

筆者の私見では、主に次の二つの理由が考えられる。一つは「冬の風物詩」、もう一つは「落ちぶれた境遇の暗喩」。順番に見ていこう。

冬の風物詩として

上述のとおり、救世軍は毎年クリスマス・シーズンに街頭で募金活動を行っており、その様子は冬の到来を告げる「冬の風物詩」として英米圏で認知されている。

『冬の散歩道』の歌詞では、秋から冬にかけての季節の移り変わりが描写されており、、その時期を象徴する「冬の風物詩」として「救世軍」の描写が用いられたと考えられる。

落ちぶれた境遇の暗喩として

『冬の散歩道』冒頭の歌詞では、若い頃に夢を追い続けた人物が、時間が過ぎて、やがて年を取り、何者にもなれず、社会の枠組みから外れて落ちぶれてしまった様子が暗に描写されている。

救世軍は、キリスト教的な慈愛の精神に基づき、貧困者への炊き出しや食事の提供など、社会的弱者の救済に向けた慈善活動を行っているが、『冬の散歩道』の登場人物が、救世軍による慈善活動の対象となるような困窮者であることが暗示されているように感じられる。

「カップを持っていけ」の意味は?

救世軍の描写が「落ちぶれた境遇の暗喩」だとすれば、同じ段落の歌詞にある次のくだりも、同様の趣旨で自然に解釈できる。

Carry your cup in your hand

直訳すれば「自分のカップを手に持っていけ」となる。何かの慣用句やことわざのようにも感じられるが、ここでは文字通りに受け取ってよいと思われる。

具体的には、救世軍が募金活動を行っている所へ自分のカップを持って行けということになるが、何のために「自分のカップ」を持っていくのだろうか?

物乞い

筆者の私見では、「炊き出しを受ける食器」、「募金活動のおこぼれをもらうためのコイン入れ」の二つを想像している。

救世軍による困窮者への食事の提供は、おそらく一年を通して行われているだろうから、食器としてよりも、冬の時期にのみ行われる募金活動に関連する解釈の方が可能性としては高そうだ。

つまり、救世軍による募金活動の近くで、自分用のカップを置いて弱々しく縮こまっていれば、通行人が救世軍のついでにコインを恵んでくれるのではないかという期待があり、そのために「自分のカップを持っていけ」と言っているように解釈できると考えられる。

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