希望のささやき 歌詞の意味
Whispering Hope

新約聖書「ヘブライ人への手紙」を踏まえたクリスチャンソング

『希望のささやき Whispering Hope』は、作曲:アリス・ホーソン、訳詞(作詞):緒園 凉子(おぞの りょうし)によるクリスチャンソング・聖書の歌

原曲の歌詞は、新約聖書「ヘブライ人への手紙」の記述を踏まえた内容となっている。詳細は後述する。

日本では女性向けの合唱曲として歌われる機会がある。メロディはドイツ歌曲『ローレライ』に雰囲気が一部似ている。

作曲者のアリス・ホーソン(Alice Hawthorne)は偽名で、本名はセプティマス・ウィナー(Septimus Winner/1827–1902)。スティーブン・フォスターとほぼ同時に活動していたアメリカの作曲家。

ちなみにセプティマス・ウィナーは、アメリカの童謡『Ten Little Indians(10人のインディアン)』を1864年に作曲している。

【試聴】 Gospel Voices - Whispering Hope

【試聴】由紀さおり・安田祥子『希望のささやき』

原曲の歌詞と意味『Whispering Hope』

Soft as the voice of an angel,
Breathing a lesson unheard,
Hope with a gentle persuasion
Whispers her comforting word:

天使の声のように優しく
聞き取れぬほどに息づく教え
希望は静かなる信念と共に
心地よき言葉がささやく

Wait till the darkness is over,
Wait till the tempest is done,
Hope for the sunshine tomorrow,
After the shower is gone.

待たれよ 闇が終わるまで
待たれよ 嵐が過ぎるまで
明日の太陽への望み
雨の過ぎ去った後に

Refrain:
Whispering hope, oh, how welcome thy voice,
Making my heart in its sorrow rejoice.

希望のささやき おお ありがたき汝の声音
我が哀しみは喜びに変わる

If, in the dusk of the twilight,
Dim be the region afar,
Will not the deepening darkness
Brighten the glimmering star?

もし黄昏の闇の中で
遠くがよく見えなくても
またたく星が深まる闇を照らすだろう

Then when the night is upon us,
Why should the heart sink away?
When the dark midnight is over,
Watch for the breaking of day.

夜が来たからといって
心を沈ませることなく
暗い夜が終わるときは
夜明けに備えよう

Hope, as an anchor so steadfast,
Rends the dark veil for the soul,
Whither the Master has entered,
Robbing the grave of its goal;

希望 その錨は不動なり
魂を覆う闇のヴェールを引き裂く
そこは主が入り行く場所
死すら意味を失う

Come then, oh, come, glad fruition,
Come to my sad weary heart;
Come, O Thou blest hope of glory,
Never, oh, never depart.

来たれ ああ 喜ばしき約束の成就よ
来たれ 哀しみで憔悴した我が心に
来たれ 汝は栄光の希望を祝福せり
決して ああ決して離れることなかれ

日本語歌詞(作詞:緒園涼子)

天つ御使いの(あまつみつかいの) 言葉さながら
声もひそやかに 希望ささやく
闇は四方(よも)にこめ 嵐猛(たけ)れど
明日(あした)陽はのぼり 風もなごまん
希望のあまき言葉
憂(うき)にも幸(さち)はひそむ

淡き黄昏(たそがれ)に 真闇(まやみ)せまれば
暗き夜(よ)の空に 星はまたたく
いよよ更けゆきて 胸は痛めど
夜半(よわ)に忍びよる 朝の光よ
希望のあまき言葉
憂にも幸はひそむ

日本語版は無難な内容に

上述のとおり、『希望のささやき Whispering Hope』の歌詞は、新約聖書「ヘブライ人への手紙」の記述を念頭に置いたクリスチャンソングとなっている。

日本語歌詞の方は、ほとんどキリスト教的要素は除外されており、純粋に「希望の歌」として幅広いシチュエーションで歌うことが出来るが、キリスト教に関する知識がある方であれば、なんとなく歌詞の雰囲気に気が付かれるだろう。

新約聖書「ヘブライ人への手紙」

原曲『Whispering Hope』の歌詞では、次のような聖書の記述が部分的に引用されている。

This hope we have as an anchor of the soul, both sure and steadfast, yand which enters the Presence behind the veil,

この望みは、わたしたちにとって、いわば、たましいを安全にし不動にする錨であり、かつ「幕の内」にはいり行かせるものである。

where the forerunner has entered for us, even Jesus, ahaving become High Priest forever according to the order of Melchizedek.

その幕の内に、イエスは、永遠にメルキゼデクに等しい大祭司として、わたしたちのためにさきがけとなって、はいられたのである。

<引用:新約聖書「ヘブライ人への手紙」第6章より>

「ヘブライ人」とは「ユダヤ人」のこと。この「ヘブライ人への手紙」が誰に宛てて書かれたものかがポイントとなる。ウィキペディアの解説によれば次のとおり。

おそらくユダヤ教から改宗したキリスト教徒でありながら、再びユダヤ教へ戻ることを考えている人々であろう。著者はユダヤ教の動物の犠牲はキリストの十字架での犠牲の後では意味を持ち得ないことを強調し、「幕屋の外で」(すなわちユダヤ教を離れて)キリストに従うことを求めている。

<引用:ウィキペディア「ヘブライ人への手紙」より>

「ヘブライ人への手紙」がユダヤ人キリスト教徒にあてられたという説には異説もあるが、これを前提に『Whispering Hope』の歌詞を解釈すると、「希望 Hope」とは、ユダヤ人キリスト教徒たちがキリストとの約束に対して抱く希望ということになる。

ユダヤ人としてキリスト教を信仰するには大きな苦難があったことは間違いない。されど、(何人であろうと)キリストとの約束を信じ、希望を持ち続けていれば、やがてそれは成就し救いがもたらされるとの普遍的なメッセージが、このクリスチャンソングには込められているように感じられる。

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