原曲の歌詞の意味 ドナドナの謎

ある晴れた昼下がり 市場へ続く道…

ニューヨークで1940年にミュージカルの一曲として初演された『ドナドナ』だが、その原曲の歌詞はどのような内容で、どのような意味があったのだろうか?

イディッシュ語で書かれた『ドナドナ』原曲の歌詞について日本語訳を試みてみた。

歌詞(イディッシュ語の発音表記)・日本語訳(意訳)

1.
Oyfn furl ligt a kelbl
Ligt gebundn mit a shtrik
Hoykh in himl flit a shvelbl
Freyt zikh dreyt zikh hin un krik

荷馬車の上に 子牛が一頭
ロープにつながれ 横たわる
高い空 ツバメが一羽
楽しそうに 飛び回る

Lakht der vint in korn
Lakht un lakht un lakht
Lakht er op a tog a gantsn
Mit a halbe nacht

<コーラス>
笑い声が麦畑を吹き抜ける
笑って 笑って 笑って
一日中笑っていた
夜の間でさえも

Dona, dona, dona, dona,
Dona, dona, dona, do.
Dona, dona, dona, dona,
Dona, dona, dona, do.

ダナダナダナ(ドナドナドナ)…

2.
Shrayt dos kelbl, zogt der poyer,
Ver zhe heyst dikh zayn a kalb ?
Volst gekert tsu zayn a foygl
Volst gekert tsu zayn a shvalb

牛は泣いている 農夫が言った
牛になれと誰が言った?
鳥になれなかったのか?
ツバメになれなかったのか?

<コーラス>

3.
Bidne kelber tut men bindn
Un men shlept zey un men shekht
Ver s'hot fligl flit aroyftsu
Iz bay keynem nisht keyn knekht

つながれた哀れな子牛
運ばれて屠畜される
翼を持つ者は高く飛び
誰にも隷属しない

<コーラス>

笑い続けるツバメ 残酷な運命

『ドナドナ』原曲の歌詞を見ると、「つながれた哀れな子牛」と「自由なツバメ」という対比がはっきりと描写されていることがよく分かる。

しかもツバメはただ飛んでいるだけではなく、昼も夜も一日中笑って笑って笑いつづけており、その様子がコーラス部の歌詞全体で力点を置いて表現されている。

これだけでも十分に哀れな子牛の悲しい運命が表現されていると思われるが、『ドナドナ』原曲の歌詞ではさらに追い打ちをかけるように、2番の歌詞で農夫が子牛を問い詰める。

「牛になれと誰が言った?」「ツバメになれなかったのか?」

哀れな子牛に対する農夫のセリフを通して、「運命の残酷さ」、「抗いようのない運命」が強調されている。

ここには、ユダヤ人として生まれた『ドナドナ』原曲の作詞者であるアーロン・ツァイトリンによる人生観や哲学が見え隠れしているように思われてならない。

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