アイルランド民謡を収集した
エドワード・バンティング

ダニーボーイの謎 Danny Boy

さて、アイルランド民謡に関する歴史的資料として忘れてはならないのが、Edward Bunting(エドワードバンティング/1773~1843)による3巻に渡る大資料集「The Ancient Music of Ireland(アイルランド古典音楽集)」です。

この音楽集のメロディーにThomas Moore(トマスムーア/1779~1853)が彼オリジナルの詩を付けて発表したのが『アイルランド歌曲集』であり、その中にはソングブックでも取り上げている「春の日の花と輝く」「ミンストレルボーイ」「夏の名残のバラ」などのアイルランド民謡があります。

なお、エドワード・バンティングによるアイルランド古典音楽集は、1796年、1809年、そして1840年の3回に渡って1巻ずつ発行されています。

1855年に出版されたジョージ・ペトリー(George Petrie)のアイルランド民謡概説書「The Ancient Music of Ireland」よりも前になりますから、Buntingの音楽集の方に「Londonderry Air」が掲載されていると考えるのが自然です。

<関連ページ>

アイルランド民謡「春の日の花と輝く」

アイルランド民謡「ミンストレルボーイ」

アイルランド民謡「夏の名残のバラ」

どこにも見当たらない彼女のメロディー

1851年にJane Rossがリマバディ(Limavady)で盲目のJimmyから聞き取ったというメロディーがアイルランドに古くから伝わる民謡であるならば、Buntingの音楽集で取り上げられていてしかるべきなのですが、これが中を調べていくと、どこにも彼女が聞き取ったメロディーはなかったのです。

これは、ただBuntingが何らかの理由でこのメロディーを採取できなかっただけなのでしょうか?それともやはりJane Rossは自分でオリジナルのメロディーを創作していたのでしょうか?

実は、よくメロディの中身まで調べていくと、Jane Rossが聞き取ったといわれるメロディーに良く似た旋律を持つ曲が Buntingの音楽集の第一巻に掲載されていたのです。次ページに続きます。

【次のページ】 9.青年の夢

ダニーボーイの謎 目次

  1. 父親の歌?母親の歌?
  2. 法律のできるソングライター
  3. アイルランドからアメリカへ①
  4. アイルランドからアメリカへ②
  5. ロンドンデリーの歌
  6. 盲目のフィドル弾き伝説
  7. 彼女の創作疑惑
  8. 見当たらない彼女のメロディ
  9. 青年の夢
  10. 100曲以上の歌詞

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