おふくろさん騒動 森進一による歌詞追加

歌詞を追加したアレンジ版を歌い続けて作詞者が激怒

2017年に「森のくまさん騒動」が勃発したことを受けて、似たようなケースである森進一の「おふくろさん騒動」について簡単に振り返ってみたい。

昭和の大ヒット曲『おふくろさん』は、1971年に発売された森進一のシングル曲。作詞は、数多くの歌謡曲や『にっぽん昔ばなし』オープニングテーマ曲などの歌詞を手がけた川内 康範(かわうち こうはん/1920-2008)。

森進一は、1994年のNHK紅白歌合戦やコンサートなどで、独自の歌詞を追加したアレンジ版『おふくろさん』を披露しており、作詞者の川内 康範もこれを知っていた。

川内は歌詞の追加について森に止めるようその頃からやんわりと話をしていたようだが、その後も2005年および2006年のNHK紅白歌合戦において、やめてくれと言っていた改変バージョンを森が歌い続けたため、川内の堪忍袋の緒が切れた状態となった。

激怒した川内は「もう森には歌ってもらいたくない」、「人間失格だ!」、「絶対に許さん!」と対立姿勢をあらわにし、自身が作詞した楽曲の歌唱を禁止。2008年に亡くなるまで、森進一と和解することはなかった。マスコミもこぞってこの「おふくろさん騒動」取り上げ、下世話に煽り立てた。

2008年に川内の遺族が部分的な和解に応じ、川内作品と『おふくろさん』原曲の歌唱が解禁された。歌詞を追加したアレンジバージョンについては永久にお蔵入りとなった。

大きな古時計の訳詞者が黒幕だった?

「おふくろさん騒動」については、森進一が独断で始めたことではないようで、ネットの情報によれば、歌詞が追加されたアレンジ版については、どうやら構成作家・作詞者の保富 康午(ほとみ こうご/1930-1984)がプロデュースしたものだったようだ。

保富氏と言えば、アニメ『一休さん』オープニング・エンディング曲、『がんばれドカベン』主題歌などの作詞者としても知られ、アメリカ歌謡『大きな古時計』の日本語訳を手がけた人物として当サイトの特集でも取り上げている

テレビ番組や舞台の構成作家として活躍していた保富氏は、森進一のコンサートを仕切っていた時期が有り、その際に『おふくろさん』の冒頭で台詞(せりふ)を追加するよう提案したという情報があるようだ。

作詞者としても数多くの名作を残している保富氏が、軽率にも他の作詞者による著作物を本人に無断で改変するような行為を取るとは考えにくいが、火のないところに煙は立たずということもあり、何らかの関与があった可能性もあるのかも知れない。

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