ショスタコーヴィチ 交響曲第7番

故郷レニングラードに捧げられた交響曲 ボレロから影響?

『交響曲第7番ハ長調』作品60は、ソ連の作曲家ショスタコーヴィチ(Dmitrii Shostakovich/1906-1975)が1941年に作曲し、翌年に初演された交響曲。

ソ連共産党の機関紙「プラウダ」上にて作曲者自身が「我が故郷レニングラードに捧げる」と表明したことから、同曲は「レニングラード」とも呼ばれる。

大戦中に作曲された楽曲であり、第一楽章では小太鼓のリズムにのって有名な「戦争の主題」が様々な楽器で12回繰り返される。この展開部はモーリス・ラヴェル『ボレロ』に影響を受けているという。

ちなみに写真は、ロシア・レニングラード州を流れるフォンタンカ川。奥の青い建物は、サンクトペテルブルクのトロイツキー大聖堂(出典:Wikipedia)。

【YouTube】 ショスタコーヴィチ 交響曲第7番

第4楽章は勝利のフィナーレ

ショスタコーヴィチ 『交響曲第7番』第4楽章では、曲中で「タタタター」という同音連打が何度も登場する。

これはモールス信号の「V」(・・・-)すなわち「Victory」を表すとされ、特にフィナーレでは勝利の宣言として印象的に用いられている。

栄養ドリンク「アリナミンV」CMソングに

1990年にテレビ放送された「アリナミンV」CMでは、ショスタコーヴィチ 『交響曲第7番』第1楽章の「戦争の主題」がCMソングとして使われた。

このCMでは、アーノルド・シュワルツェネッガーがアラビアン・ナイトのランプの魔人ように「アリナミンV」のビンの中から登場し、「ちちん ぶいぶい!」とキャッチフレーズを叫んで商品をアピールするという内容となっている。

【YouTube】シュワルツェネッガー出演 アリナミンV ドリンク CM

なぜ「アリナミンV」CMソングにショスタコーヴィチ 『交響曲第7番』が使われたのか?おそらくは、第4楽章の勝利のフィナーレで描写される「Victory」の「V」とつながりで採用されたものと推測される。

ちなみに、宮沢りえが同CMでシュワルツェネッガーと共演したのはその2年後の1992年から。

宮沢りえは1991年に伝説の写真集「Santa Fe(サンタフェ)」を発売(当時18歳)しミリオンセラーに。一方シュワルツェネッガーは1991年公開の「ターミネーター2」が大ヒットを記録。

話題の大スターが共演する豪華キャストにより、「アリナミンV」テレビCMは大変に話題を集めた。出演料が凄い額になりそうだが、ドリンク剤は、それだけ儲かる商品だったのだろう(今でも)。

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