ジョスラン(オペラ作品)

フランス革命で立ち上がった貧しい市民達 聖職者・貴族が標的に

オペラ『ジョスラン Jocelyn』は、19世紀フランスの作曲家ゴダールによる全4幕のオペラ・歌劇。1888年に初演された。

今日上演される機会はほとんどなく、同作中のアリア『ジョスランの子守歌 Berceuse de Jocelyn』だけが独立した楽曲として単独で演奏される。

オペラ『ジョスラン』のあらすじ・ストーリーは、フランスの詩人・政治家アルフォンス・ド・ラマルティーヌ(Alphonse de Lamartine/1790-1869)の長編詩に基づいている。

舞台は18世紀末のフランス。聖職者の主人公ジョスランは、過激化するフランス革命の荒波にのまれ、山で数奇な逃亡生活を送ることになる。

オペラの詳しいストーリーは確認できていないが、「フランス革命」「聖職者」「逃亡生活」というキーワードがあらすじの大きな柱となっていくと思われる。18世紀末フランスの歴史について、次のとおり若干補足することとしたい。

フランス革命と追われる聖職者

フランス革命以前の身分制度「アンシャン・レジーム」では、国民は三つの身分に大別されていた。第一身分は聖職者、第二身分は貴族、第三身分は市民や農民である。このうち第一身分と第二身分はいわゆる特権身分であり、免税特権を持っていた。

1789年のフランス革命により第三身分の第三身分の市民・農民たちが立ち上がると、貴族や聖職者たちは革命軍の標的となり、1793年にはルイ16世とマリー・アントワネットはパリのコンコルド広場でギロチンで公開処刑された。

特権身分のキリスト教は徹底的に弾圧され、聖職者追放と教会への略奪・破壊が横行した。1793年11月にはフランス全土でミサの禁止と教会の閉鎖が実施され、祭具類はことごとく没収されて造幣局で溶かされたという。

オペラ『ジョスラン』の主人公である聖職者のジョスランも、このフランス革命のあおりを受けて山岳地帯へ逃亡。おそらく、『ジョスランの子守歌 Berceuse de Jocelyn』はその逃亡中の山の中でジョスランが歌った歌ではないかと推測される。

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