交響曲第94番「驚愕」 ハイドン

居眠りの聴衆を不意打ちで驚かせた第2楽章の強奏

交響曲第94番「驚愕」ト長調は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1791年に作曲した交響曲。

英語では「Surprise Symphony(サプライズ・シンフォニー)」とも呼ばれるほか、第2楽章は子供向けのピアノ曲「びっくりシンフォニー」としても編曲されている。

驚いた顔のネコ

交響曲第94番「驚愕」が作曲された前年の1790年、ハイドンが長らく仕えてきたニコラウス・エステルハージ侯爵が逝去した。

これを機にハイドンはロンドンへ渡り、交響曲第94番「驚愕」を含む計12曲の交響曲を書き上げることとなる。これらは後に「ロンドン交響曲(ロンドン・セット)」と総称される。

【YouTube】 Symphony No. 94 in G major "Surprise"

【YouTube】第2楽章

「驚愕」の意味・由来は?

ハイドンが滞在した当時のロンドンの聴衆はマナーがあまり良くなく、コンサートの演奏中に堂々と居眠りする者が少なくなかったという。

居眠りをする聴衆を少し驚かせて起こしてやろうと、ハイドンは新たに作曲した交響曲第94番の第二楽章に仕掛けを組み込んだ。

この第二楽章冒頭では、最弱音で主題を2回繰り返し演奏した直後、演奏者全員が一斉に奏するトゥッティ(tutti)によって、直前の静かな主題とのギャップで聴衆をびっくりさせるという隠れた意図が込められている。

特にハイドンはティンパニ奏者に力一杯叩くよう指示したとされ、当時の演奏では狙い通りに居眠りの聴衆を驚かせることに成功したという。

ちなみに、ティンパニが強奏されるクラシック音楽としては、カール・オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』より『おお、運命の女神よ』冒頭が有名。

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