交響曲第9番 第4楽章「歓喜の歌」

ベートーヴェン/Symphony No. 7 in A major, Op. 92

ベートーヴェン:交響曲第9番

年末の風物詩とも言えるベートーヴェン(ベートーベン)の第九(だいく)は、ロンドンのフィルハーモニー協会が作曲を依頼し、1824年に完成された交響曲。

同年にウィーンのケルントネル門劇場にて行われた初演では、耳の病を患っていたベートーヴェンが観客の拍手喝采に気が付かず、舞台のアルト歌手に観客の方を向かされて、初めて演奏の成功を感じることができたという。

交響曲第9番の中で最も有名な第4楽章の合唱部分には、作詞家の「なかにし礼」氏により日本語の歌詞が付けられ、スポット的にCDやアニメなどでも頻繁に使われている。

合唱部分の歌詞の原詩「歓喜に寄せて(An die Freude/1803)」は、ゲーテと並ぶドイツの詩人フリードリヒ・シラー(Johann Christoph Friedrich von Schiller/1759 - 1805)の作品で、後にベートーヴェンがカンタータ部の歌詞として抜粋し書き直された。

ちなみに、初期のCDの録音時間が74分とされていたのは、このベートーヴェンの交響曲第9番がCD1枚に収まるように配慮されたことが大きな理由と言われている。

なぜ年末に第九が歌われる?

年末によく流れる「第九(だいく)」は、戦後まもない1940年代後半頃から頻繁に年末に演奏されるようになったという。年末に演奏が集中する理由の一つとしては、楽団員の「もち代稼ぎ」の狙いがあったようだ。

第九は合唱団も加わって大人数の構成で演奏される。その構成員の家族・友人らがそのコンサートを見に来れば、それだけで客数をある程度確保できるというわけだ。

もともとは、大晦日に演奏されるのはドイツの習慣に習ったもののようだが、前後の厳しい経済事情もあって、日本の年末には合唱付きの交響曲が定着したのだろう。

讃美歌やゴスペルソングにも

『歓喜の歌』として知られる合唱部分のメロディには、20世紀初頭にアメリカの作家・聖職者のヘンリー・ヴァン・ダイク(Henry van Dyke/1852–1933)により讃美歌の歌詞がつけられ、聖歌『ジョイフルジョイフル Joyful, Joyful We Adore Thee』として歌われている。

【関連ページ】 讃美歌・聖歌『ジョイフルジョイフル Joyful, Joyful We Adore Thee』

さらにこの『ジョイフルジョイフル』は、1993年のアメリカ映画「天使にラブ・ソングを2 Sister Act 2」でゴスペルソング(一部ラップ)としてアレンジされ、以降はゴスペルミュージックとして広く知られるようになった。

【関連ページ】 ゴスペルソング『ジョイフルジョイフル』

【コラム】 耳の病はワインの飲み過ぎが原因?

余談だが、ベートーヴェンの死後、毛髪から通常の100倍近い鉛(なまり)が検出された。ベートーヴェンはワインの愛好家だったようだが、当時のワインには酢酸塩を含んだ甘味料が用いられ、この過剰摂取による「鉛中毒」が、その後の難聴や持病(腹痛・下痢等)を引き起こしたのではないかと推測されている。

ちなみに交響詩「モルダウ」(連作交響詩「我が祖国」より第2曲)の作曲者として有名なベドルジハ・スメタナ(B.Smetana/1824~1884)も耳を患っていたことで知られている。

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【試聴】ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章 『歓喜の歌』

【試聴】バーンスタイン指揮 Symphony no. 9 "CHORAL"

歌詞(ドイツ語)・日本語訳(意訳)

Freude schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium,
Wir betreten feuertrunken,
Himmlische dein Heiligtum!

歓喜よ 美しき神々の御光よ
エリュシオン(楽園)の乙女よ
我等は情熱と陶酔の中
天界の汝の聖殿に立ち入らん

|:Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.:|

汝の威光の下 再び一つとなる
我等を引き裂いた厳しい時代の波
すべての民は兄弟となる
汝の柔らかな羽根に抱かれて

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